二〇一〇年度演習紹介
上代
矢嶋 泉先生(専任)
<4A 臼井 海人>
<4D 栗本 裕子>
日本最古の歴史書である『古事記』は、天皇による支配を正当化する目的で編纂された作品です。その『古事記』は単なる神話を集めた書物ではなく、編纂者による高度な意図性を秘めた書物であることを導き出すのが矢嶋ゼミです。先行文献による情報ではなく、「なぜこのような展開になっているのか」、「なぜこのような説話が登場しているのか」などと自分なりの考えが重視され、それを議論し合うことで『古事記』の真の面白さに触れることができます。
小川靖彦先生(専任)
<3C 気仙 麻衣>
<3C 江本 実加>
小川先生のゼミでは『万葉集』を自分で英訳し、発表しています。ただ英訳するだけでなく、その歌のことばや背景を調べ、またクランストンなどの外国人の英訳も参考にして、歌の表面的意味だけでなく、その裏に込められたものを、宗教観や習慣といった様々な違いがある外国人に言葉の壁を越えて、より正確に伝えようと皆で議論しています。日本文学である『万葉集』を英訳で捉え直すことによって、日本語だけでは気付くことができなかった新たな発見が得られることも、このゼミの大きな特徴です。『万葉集』のことになると熱い先生と共に、『万葉集』の世界に飛び込んでみませんか!
<2B 赤間 極>
正直、僕は万葉集を甘く見ていました。現存する最古の歌集、とか言われてもなあ、そんな感じです。しかし、これが読んでみるとすごく興味深く、言葉ってこういう風に働き得るんだ、という発見と感動が毎回あります。今年の小川先生のゼミで扱っているのは、『万葉集』巻二「挽歌」と分類される歌の数々です。死と向き合った時、人は何を感じ、何を思うのか。「金沢本万葉集」と呼ばれる、美しい料紙、書を味わいながら議論しています。ゼミの内容もさることながら、小川先生の雑談もこれまた面白いんです。万葉集を、先生と、皆と、読んでみる。とても有意義なゼミだと思います。
河野貴美子先生
<3B 東海林沙貴>
この演習では景戒が編纂した説話集「日本霊異記」を読んでいきます。景戒とはいかなる人物であったと言われているか、またこの編纂はどういった意味をもっているかなどを考え、授業を進めていきます。
一人一人が上中下巻ある話から一つを選び、自分なりの疑問点を掘り下げて論文形式でまとめることをします。同じ演習のメンバーと作り上げた論文についてのディスカッションを交わしたり、先生から更に疑問点を挙げられたり、また掘り下げられたりもします。資料に関して様々なアドバイスを頂くこともできます。
「説話」は幅広く、研究としては非常に突き詰めがいがある授業です。

中古
土方洋一先生(専任)
<3A 佐藤みづき>
今年の土方ゼミは『枕草子』が題材です。ペアで2週間に渡って発表をします。3、4年生と院生がゼミに参加しており、ゆっくりと真剣に、時に笑いを交えて議論しています。発表準備では学食で仲間と熱く語ってしまうことも…。研究方法を先生や先輩方から盗み(良い意味で!)ながら『枕草子』の世界を愉しんでいます。
春の遠足、夏のゼミ旅行、年に数回の飲み会など、ひじゼミにはイベントも多くあります。このイベントのおかげで打ち解けて、授業では議論しやすい空気になっています。私はこのアットホームなゼミに入れてよかったなぁと感じています。
<2A 岡見 香織>
<2A 渡邉マリコ>
今年の土方ゼミは、『源氏物語』の蓬生巻を精読しています。ゼミの前半では発表者が与えられた本文を分析し、後半はそれに基づき全員で討論します。土方先生はちょっとした表現の違和感、一言一句の意味まで見過ごしません。「なぜここではこのことばを使うのか」、そんな小さなところから問いが生まれてきます。何週間もかけて調べ、万全の状態で発表しても、授業では思わぬことを指摘され、また調べ直し、翌週に持ち越すことがほとんどです。しかし、だからこそ納得して次に進み、その後に繋がっていきます。解釈が分かれて議論したり、不意に出た新しい見解に感心したり、授業はとても充実しています。源氏物語の面白さに改めて気づかされるゼミです。
高田祐彦先生(専任)
<3C 野崎 愛実>
今年度の高田先生のゼミでは『源氏物語』の葵巻を読んでいます。一人ずつ担当する箇所が決まっており、発表までに多くの資料にあたり準備をします。発表に対しての質疑応答や意見を述べ合うなどして、全員で考えていきます。知らないことはないのではないかと思わせる先生も、補足をしたりしてサポートしてくださいます。そんな先生も難しいと首を捻る問題が提起されたりもします。そんな時、確かな答えを見出すことが難しいこともしばしばです。ですが提示された資料や自分の知識をもとに考え、他の人の意見に耳を傾け、より自分の考えを深められていると実感できています。
佐藤道生先生
<3D 宇都宮千尋>
このゼミでは「詩序集」を講読し、学んでいます。
「詩序集」には平安後期の貴族・官人らが詩宴にて披露した詩序が収められています。彼ら執筆者の中には奨学金をもらったりして必死に漢文を学んだ者もおり、詩宴はその努力の成果が認められる場でありました。詩の構成の規則を守り、知識を駆使して作られた詩の絢爛さから王朝文学の神髄を味わうことができます。佐藤先生の講義は漢文読解の基礎学力を修得することが目標です。ですから、漢詩文に抵抗や馴染みにくくても大丈夫。丁寧な解説や和気藹々とした講義が私の「漢文は堅い、難しい」といったイメージを変えてくれました。
大橋直義先生
<2A 石井 祐吉>
私たちは、「古事談」で説話を読み解きながら平安時代の文化を学んでいます。「古事談」の中にある様々なエピソードの中からグループで興味深い話を選んで、関連資料を探し知識を深めながら発表に臨んでいます。説話を様々な観点から観ることによって歴史上の人物の新たな面が見えたりします。道長、清少納言など平安時代の人物に興味がある方はおすすめです。基本的にアットホームな雰囲気なので楽しく学習することができます。

中世
廣木一人先生(専任)
<3C 佐野 杏子>
<3C 田代 江里>
廣木ゼミでは、『新古今和歌集』の研究を行っています。前期は指定された和歌について調べ、発表をし、後期は各自が関心を持った和歌についてテーマを設けて発表していきます。担当者は一時間まるまる使って発表をし、合間合間には質疑応答の時間を設けて、様々な疑問や意見を交換していきます。先生は生徒たちの議論を暖かく見守りつつ、時折考察や解説を示して下さいます。
この研究で、当時の歌人たちの気持ちに触れることができて、今までとっつきにくい印象であった和歌に対する思いが180度変わりました。和歌文芸の魅力を知ることができる充実したゼミです。
佐伯眞一先生(専任)
<3B 及川 優香>
佐伯先生のこの授業では一年間を通じて『平家物語』を研究しています。一人ひとりが気になった章段を選び、諸本と比較し様々な資料を用い、独自の解釈を発表していきます。卒業論文を意識した演習でもあるため、きちんとした論文の書き方も学べます。不明な点があっても、佐伯先生が優しく丁寧にアドバイスして下さいますよ。何より、先生からの補足説明や発展的な解説は学問的示唆に富んでいて聞き応え十分。真剣に取り組む程得るものの多い演習です。『平家物語』に関することなら幅広く扱えるので、興味のある方は是非受講してみて下さい。
近本謙介先生
<3C 藤山 彩音>
<3C 平野 恭子>
わたしたちのゼミでは、仏教説話のなかに描かれている不思議な出来事・一見なんともないように見える出来事を、仏と日本古来の神との関係や中世日本の思想をふまえて考えながら“本地垂迹”をキーワードに、その説話がなにを伝えようとしているのか、をみんなで読み解いていきます。
ゼミの雰囲気は、少人数のため気軽に話しかけられることからアットホームなところが特徴です。また、アットホームな雰囲気のため、演習発表時にも緊張することなく、みんなが自分の意見・考えを言い合え、新しい発見ができるので有意義な授業時間を送ることができます。

近世
篠原 進先生(専任)
<3C 鎌田 政緒>
太宰治から、世界で一番偉い作家と評価された井原西鶴。
篠原ゼミでは、西鶴の作品とそれをリライトした太宰の作品を比べながら担当作品を研究・発表し、議論していきます。西鶴が作品に込めた思いとは。また、後にそれを読み、リライトした太宰は何を感じ、伝えたかったのか。そして現代を生きる私たちはこれらの作品から何を読み取るのか。
研究テーマは自由なため難しそうですが、先生や院生の方からの的確なアドバイスや発表中に助け舟が出るなどサポート体制は万全。発表形式が苦手な方にもお勧めできます。
西鶴と太宰を学ぶ、一度で二度おいしい篠原ゼミ。興味のある方はぜひ。
大屋多詠子先生(専任)
<3A 塚田 美奈>
大屋先生のゼミでは、黄表紙を扱って演習を進めています。
黄表紙は現代で言う漫画のようなもので、文章を読み解くというよりは、絵を解釈することが主体となってきます。
今年は、江戸時代の浮世絵師・戯作者である山東京伝(北尾政演)が描いた「御存商売物」を一人一丁担当して発表しています。赤本・青本・黒本・洒落本・柱隠しなど、江戸の出版物がそれぞれの特徴を生かして擬人化されていて、そこから当時の道具や着物、流行りの髪型など、江戸の文化を知ることができます。また、黄表紙は世間を風刺した笑いが多く含まれ、思わず笑ってしまうような面白い作品が多くあります。大屋先生は、とても親身になって発表の相談にのってくださり、疑問点もわかりやすく指摘なさるので内容の深い発表ができると思います。江戸時代の文化や笑いがお好きな方はぜひ受講されることをお勧めします。
加藤敦子先生
<3A 春木真由子>
この演習では、人形浄瑠璃『義経千本桜』のテキストを適量ずつ分担・通釈していきます。同時にテキストの中から問題点を挙げて調査したり、『平家物語』等典拠とされる作品との比較をしたりします。また、人形浄瑠璃という「語り物」を扱うため、テキストを読み込むだけでなく、本文を音読してテキストの文体や表現を見ていったり、映像で上演の様子を確認したりします。『義経千本桜』は江戸時代から現代に至るまで人形浄瑠璃・歌舞伎で上演され続けている人気演目ですが、この演習で作品の奥深さを知ることで『義経千本桜』の持つ本質的な魅力を探ることができると思います。
近藤瑞木先生
<2C 角田 咲智>
『武家物奇談』の解読を試みる授業です。前期は黄表紙への理解を深めつつ研究方法を学び、後期に担当箇所の研究報告をします。この作品は殆ど研究がなされておらず、自分で本文に漢字をあて、現代語訳をし、典拠を探さなければなりません。大変な作業ですがその分やりがいがあります。内容は軍記物語などの説話のパロディになっているので、古典作品が好きな人はより楽しめます。また、歌舞伎や人形浄瑠璃を見る機会もあり、江戸時代の文化を味わうことも出来ます。研究すればするほど深い読みが可能になり、面白味も増すということを実感出来る有意義な演習であると私は思います。

近代
片山宏行先生(専任)
<3D 佐藤 浩美>
「三島由紀夫の『金閣寺』を読んで、点数をつけてみてください。」こう要求されたら、皆さんはどうしますか。50点以下をつける人はあまりいないでしょう。名作を批評するには、それなりの根拠が必要ですよね。片山ゼミでは、漠然としたイメージをより説得力のある論に仕上げるための演習を行います。また、原作と映像を比較することで、新たなエッセンスが加わることもあります。片山先生は学生の意見を決して否定せず、「なるほどね、つまりそれは…」と、的確な助言をしてくださいます。題材となるのは主に近現代文学ですが、専攻に関わらず積極的に参加できるゼミです。
日置俊次先生(専任)
<4B 保高 亜紀> 日常生活の中のテーマに沿って短歌をつくり、歌会を開いてお互いに評価し合います。ただ五・七・五・七・七と言葉を並べるのではなく、「そこに自分が存在する」「聞いた人がストーリーを想像できる」短歌を目指します。これまで見逃していた自然の美しさや力強さ、身近な人々の些細な言動や自分自身の感動などに気付きます。
また、時には教室を飛び出して青山散策へ出かけます。他の青学生が知らないような日置先生オススメのスポットを知ることができる貴重な機会です。
短歌づくりは簡単ではありませんが、日置先生のご指導の下、楽しく短歌を学び、歌会の度にその奥深さを実感しています。
<2A 仁多見朋緒> 私たちはこの日置ゼミで迷子になります。井伏鱒二の『山椒魚』や宮沢賢治の『やまなし』などの近代短編小説を読みつつ、日置先生は様々な問題を出して私たちを迷わせるのです。私たちはどうにか自分なりの答えを見つけ、みんなに発表します。当然「答え」は人の数だけ存在するし、その尊い違いを受け入れつつ自分の答えを探すというのはとても難しいのですが、奥が深く、やがてはそこに楽しさや喜びを見出すことができます。大切なのは「迷う」ということ、そして自分なりのルートで出口に辿り着くことです。近代短編小説の世界で、皆さんも私たちと一緒に迷子になってみませんか。
佐藤 泉先生(専任)
<3D 木村 美仁>
私達の演習では、大正時代から昭和に至るまでの文学論争を取り上げて読み再検証しています。この文学論争を考えるにあたり、各自が一つ論文を担当し、毎授業一人ずつ発表してその論文の要旨を理解した後、討論してその内容の分析や今日においての意味を追求していきます。また、文学論争に関わった作品を不定期に読み、感想文を提出し討議するなども行っています。私達が扱っている時代では、文学が社会と深く関わっていており、文学論争は社会の闘争の歴史に強く根付いていました。この混乱の現代に、今の時代にはないぶつかり合う思想の輝きを見ることは有意義だと感じています。
五味渕典嗣先生
<3B 才藤かずら> 五味渕先生の演習では谷崎潤一郎の『春琴抄』という1冊の本を1年かけて読み込んでいます。学生は『春琴抄』の中の1ページの本文異同・語注を担当し、書物や論文を参考にしながら独自の解釈を発表します。この演習は「精読」に尽きます。たった1ページ、と思うかもしれませんがその小さい紙の上には谷崎が散りばめた様々な謎が隠れています。言葉の1語1語を調べ考える「精読」によって、また、発表後の先生を交えた質疑応答によって私たちはその謎の答えを導き出そうとします。私たちはこの授業で・本当”の『春琴抄』のラストと出会えるでしょうか。今から楽しみです。
庄司達也先生
<3D 酒井 駿宏>
あなたも探偵になりませんか?
この演習は芥川龍之介の芸術鑑賞記録を検証します。彼自身の言説や書簡はもちろん、当時の新聞や雑誌など幅広い資料をもとに、まるで探偵のように彼の足跡を探っていきます。様々な資料から事実を推理していく作業にはやりがいがあり、そこから新たな事実を発見した時の喜びはひとしおです。また、こういった作業を通して芥川作品を読むだけではわからないような、彼の価値観や人間性といった部分にまで理解を深めることができます。皆さんも芥川の歴史を紐解いてみませんか?
『真実は、いつもひとつ!』
黒田俊太郎先生
<2A 青木 祐子>
黒田先生の授業では、明治期の小説を題材にテクストの分析を行います。複数名のグループに分かれ自分たちの選んだ小説について好きな角度から研究し発表します。資料を集めてまとめるのは正直大変でもありますが、疑問点を掘り下げながら同じグループの人達と内容の濃い意見を交わすことは良い刺激にもなります。また先生の豊富な知識と的確なアドバイスが私達の視野を広げてくれ、発表後に行うクラス全体の論議では文学的思考だけでなく積極性やコミュニケーション能力も養われます。苦労は伴いますが、確実に成長出来る充実した演習です。

漢文学
大上正美先生(専任)
<3B 飯島 優子>
<3D 苫米地綾花><
険しい表情をし、時には目つむりながら発表を聴く。その後、「僕はね…」と顔を輝かせながら先生も一緒になって意見交換をする。この時間が何よりも楽しい。そんな情熱をもった大上先生のもと、杜甫や陶淵明といった中国の詩人達の詩を主に二週にかけてじっくり読み、考えを深めていきます。触れ合い方は基本的に自由で、「杜甫と陶淵明」など、自分の興味に応じて調べ、発表します。一つの詩でも十人十色の解釈があり、彼らの詩に触れれば、その奥深さに魅了されるはず。ゆったりとした空気の中で、じっくり考えるのが好きな貴方ならきっと居心地よくなってしまうと思いますよ。
<2C 小松 詩織>
昼休み直後の三限、お腹も満たされ少し眠くなった頃、大上先生の演習の時間がやって来ます。このゼミでは、『世説新語』をまったりとした雰囲気の中で読み深めていきます。『世説新語』は、後漢から東晋におけるいわばエピソード集のようなもので、ある人がこんなことをしましたよ、という話をまとめたものです。私達は登場人物の人格を探りながら、各話の文学性に迫っていきます。「漢文は教訓めいたものが多くてつまらない」と思っている人にこそ、この演習を選んでいただきたいです。親しみやすく、ユーモアに溢れた漢文に触れることで、今までの偏見がきっと覆されるでしょう。ところで、大上先生は演習の中で私達に意見を求めますが、それにより、『世説新語』よろしく一人ひとりの人柄を見抜こうとしているようです。後期は、生徒が各自担当部分のレジュメ作りと発表を行います。発表の内容に耳を傾け、私もそこから担当者の人格を読み取ってみようかしら、なんて考えているところです。
神鷹徳治先生
<3A 岩城 紘乃>
このゼミでは中唐文学の詩人で我が国の平安女流文学に大きな影響を与えた詩人である白楽天の作品を読んでいきます。
彼の全集は膨大で七十巻もありすべてを読むことはできないので、紫式部が上東門院彰子に講読したしたことでよく知られている巻三、四を取り上げます。前期は白楽天文学の特徴と、それを受容した日本女流文学への影響関係を確認し、後期は江戸時代に出版されたものの中から各自作品を取り上げて発表していきます。
漢文が苦手という人も多いと思いますが、堅苦しく考えずに漢字一字の持つ世界の広さに触れたらきっと漢文に対する意識の変化を感じられるはずです。
樋口泰裕先生
<3A 和田 祐子>
この授業では、唐代の女性詩人、魚玄機・薛濤の詩を読み解きます。唐代の女性の生活・社会的立場・文化・恋愛などを踏まえ、『唐女詩人集三種』という原文を収録した資料から一首選び、注釈書などを利用しながら精読します。そして詩型・押韻・和訳を調べた上で、言葉の意味や表現の意図を自分なりに解釈し発表します。発表の場では、疑問があれば発表者だけではなく全員で議論し、意見を出し合いながら考えていきます。
唐代の女性の詩を精読することで、彼女たちの豊かな感性や知識に触れ、自身の感受性も育まれます。あなたも中国古典詩の世界に触れてみませんか?
狩野 雄先生
<2A 早田しおり>
狩野先生のゼミでは「三国志」を扱っています。前期は数あるエピソードの中から何人かの登場人物にスポットを当てて、漢文を訓読しました。今年は学生3人に対して先生が1人という恵まれた環境の中で学んでおり、個々の意見や視点を語り合いながら授業を受けています。大人数で受ける講義ではつい知識を得たところまでで止まってしまいがちですが、ここでは自らの考えと作中の登場人物の考え方とを引き比べて考えるので、登場人物をより身近に感じながら文学に触れられる貴重な機会となること請け合いです。後期は自分の気になる登場人物を取り上げて、それぞれ発表します。

日本語学
安田尚道先生(専任)
<3D 成毛 直子>
「しぇんしぇ、あれがおおかめでおぢゃる(先生、あれが狼でございます)。」ずいぶんヘンテコな日本語ですね。でもこれが六〇〇年前の日本で話されていた言葉なんです。レコーダーもない時代の発音がどうしてわかるのか、その秘密はこの授業で扱うローマ字版『イソップ物語』にあります。簡単に言ってしまえば、この本には当時の日本語が“音”そのもので書かれているのです。授業ではこれらの“音”をたよりに、言葉の意味・解釈、語形の変化・成り立ちといった、言葉のもつ様々な側面を自発的に調べ学んでいきます。古典や文法といった枠を越えて、昔の日本語をみてみませんか?
<2D 立花 文香>
日本語学演習(1)では、和歌を変体仮名で読みます。今、私たちが使っている「ひらがな」はたった47ですが、百年前の日本人は今よりもずっと多くの「かな」を使っていました。 この演習では変体仮名の字典を片手に古今和歌集を中心に読んでいきます。変体仮名の解読は、その字が何なのか、ただ字典と照らし合わせるだけでなく、自分の持つ古典、和歌の知識や、前後の言葉との繋がりから少しずつ解読していきます。授業中は、安田先生がわからないところを丁寧に教えてくださいます。また、先生の講義を聞くことによって、その和歌にまつわる古典の知識を身につけることもできます。
山口昌也先生
<3D 白井友里亜>
日本語学の研究では、自分の調べたい表現がどのように使われているか調べることも必要です。そこで役立つのが太陽コーパスという検索システムです。これをパソコンで使うと自分で指定した文章の中でその表現がどのように使われているか数とともに分かります。このゼミではこのシステムを、パソコンを使い自分たちで作っています。プログラミングをやったことのない私でも、先生の丁寧なご指導のおかげで簡単なものなら一人でも設定できるようになりました。自分で検索対象を設定することができるのは強みです。特にWEBを利用して日本語を研究したい人にはオススメです。
鈴木美恵子先生
<2B 山田 有美>
日本語学演習[2]では、普段何気なく使っている「日本語」について様々な視点から考察していきます。と言っても、知識を重視するお固い学習ではありません。大切なのは“感性”です。ふと街中で耳にした表現に違和感を覚えたり、日本語と外国語との違いに戸惑った経験がある方は、是非そのセンスをこの演習で発揮して下さい。
本に書かれている法則に捉われず、常に移り変わっていく日本語を自分たちの感覚で捉えていく授業は、とても楽しいです。辞書や語学の本に書かれている法則だけでは割り切れない日本語の不思議について、みんなで議論しながら楽しく理解してみませんか。

日本語教育
山下喜代先生(専任)
<4B 本田 美生>
日文科の皆さんは、きっと他学科の学生よりも日本文化に強い関心を持っていることでしょう。厳しくも温かい山下ゼミでは、少し違った視点から日本文化の理解を深めることができます。
日本語教育が主題のこのゼミは、卒論の前練習にもなる三年次の論文研究から始まります。この個人研究と並行して教材研究やコースデザイン・模擬授業といったグループ活動に取り組み、四年次には交換留学生を対象に教育実習を行います。
外国人への日本語指導を学ぶことは、外から見た日本を意識することに繋がります。日本が好き、それを国外に伝えたい、そんな想いを持つ方に心からお勧めしたいゼミです。
三原裕子先生
<3D 山嶋 香澄>
三原先生のゼミでは日本語教育の授業を行うための基礎的な文法の教授法や日本の教養・文化についての知識をどのようにすれば定着できるかを学びます。
授業は学生が独力で作成した教案を用い、模擬授業をもとに教案検討を行います。学生同士による議論はもちろん、先生からの鋭い指摘は教案の不足部分を発見してくれます。日本語教育の実際の現場を知る先生は厳しくもユーモアたっぷりで、ゼミは笑いが絶えません。活発に議論が出来る人、意欲のある人、日本語教育に興味がある人にお勧めのゼミです。