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私が青山学院大学に来たのは一九七五(昭和五〇)年で、キャンパスは青山と世田谷(理工学部)の二つであった。その後すぐに国際政治経済学部の新設の話がおこった。学部新設となると、当時の文部省の「大学設置基準」を満たす必要があり、そのためには郊外に広い敷地を用意しなければならなかった。それが神奈川県厚木市の厚木キャンパスである。ここで文系学部の一・二年生、理工学部の一年生が学ぶことになった。下車駅は小田急線の本厚木駅(新宿から急行で六〇分)。バスセンターまではすぐだが、長い行列をして乗る路線バスで三〇分。新宿からだと、どんなにはやくても九〇分はかかるのであった。
私は厚木では二年生の授業を持っていたが、あるとき名門の女子校出身の学生から、「厚木キャンパスの図書館はなぜこんなにお粗末なのですか。私の高校の図書館のほうが立派です。」と詰問された。これにはまさに返答に窮した。蔵書が不足しているだけでなく、夏休みと春休みは休館であった(改善を要望した結果、後に、春休みの休館だけは取りやめになった)。授業で参考書を紹介しても、「残念ながらこの本は青山キャンパスにしかありません」と付け加えなければならないことがしばしばであった。そして、教室も、最初は冷房がなかった。食堂も狭くて、何度も増築工事が行われたがなかなか混雑は解消しなかった。こういう状況で皆よく頑張った。
キャンパスが相模原市淵野辺へ移り、通学の便はかなり改善された。図書館も大きくなり、夏休みも開館するようになった。しかし、日本文学科の授業、特に演習を受講するにはまだまだ本が足りない。
そして今、文系学部は淵野辺から青山へ移ることになった。これでやっと三〇年あまり前の状況に戻ることになる。その間に図書館や研究室の蔵書はかなり充実したから、「入学したらバリバリ本を読むぞ」という学生にかなり応えることができると思う。
青山キャンパスはなんと言っても地の利がいい。神保町の本屋街へは三〇分もかからない。国会図書館はその手前にある。徒歩一〇分ほどの國學院大学の図書館は、相互協定で学生証を持って行くだけで簡単に利用させてもらえる。
東日本大震災のため校舎の工事が遅れ、淵野辺からの移転は二〇一三年春ということになったが、引き続き新図書館の建設も計画されている。私はこの三月で定年だが、「元教員」として新図書館を利用させてもらうつもりである。