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この授業のテーマは「和歌を歌う」で、宮中歌会始で用いられている和歌披講(綾小路流)の実際を学び、実践し、最終日には各自が模擬披講(試験)という形で、実際に披講を行いました。講師は、東京成徳大学教授でいらっしゃり、またあの世界的人気キャラクターの声優もされている青柳隆志先生です。さすがに声を使うお仕事をされているだけあって、先生の声は素晴らしく、和歌披講を聞いたときには本当に聞き惚れてしまうほどでした。
授業は4日間全15回で、1日目は和歌披講の歴史と実際などにつて学び、さっそく試験に向けて披講の練習もしました。試験で披講する「君が代」は、歌詞は国歌の「君が代」と同じですが、おなじみの音楽的なメロディーとは全く異なり、初めて聴くとまるでお経のようなものです。この授業で初めて知りましたが、君が代は国歌になる前から和歌披講の練習歌として古くから歌われてきた和歌だそうです。音の変化が少なく低い音程の「甲調」と、甲調より高い音程で音の変化も多い「乙調」があり、この日は試験で披講する「甲調」を中心に練習しました。みんな和歌披講なんて、歌うどころか聞くのも初めてですから、始めは虫が鳴くような声しか出ませんでした。
2日目は甲調に加え乙調の練習もし、「愛地球博」で行われた「天徳四年の歌合」の再現を録画したDVDを見ました。有名な壬生忠見の「恋すてふ…」の歌と平兼盛の「しのふれと…」の歌を競わせる場面ではDVD越しにもどきどきしてしまいました。
「披講所役」という披講のときのそれぞれの役割についても詳しく学び、実際に各自が所役について歌会形式で「君が代」を披講しました。
所役は、読師・講師・発声各一名、講頌四名です。読師は、歌は歌わず、歌の書かれた懐紙を広げていく等が役目で、簡単そうですが所作は難しく、読師の動きで披講の流れが決まるので所役の中で一番重要な役でリーダー的存在です。次に重要なのが発声で、字の通り、披講の際はじめに歌い出します。披講は、読師が懐紙を広げ、講師が、一人でまず歌を読み上げ、その後、発声と講頌四人計五人で歌うのですが、初句だけは発声が一人で歌います。つまりソロの部分があるという感じです。
このような役をつけて歌うようになって、だんだんと和歌披講の形が見えてきました。
3日目は、自分たちで歌つまり短歌をつくり、それぞれ懐紙に筆で書いて、それを諸役について披講形式で歌いました。懐紙に筆で短歌を書く体験はみんな初めてで難しかったのですがとても楽しかったです。
4日目は装束について、ということで、なんと全員平安時代の貴族の装束を着てみました。歌会は男性だけで行われるので、直衣、衣冠、狩衣を着ましたが、体験ということで一人ずつ十二単も着させてもらいました。男性の装束でもなかなか動きにくいものでしたが、十二単は本当に重かったです。
その装束で、前日につくった短歌を、平安時代の歌会形式で披講しました。雰囲気が出てとても良かったです。みんなの表情もきりっとして見え、1日目のか細い声から比べるとかなり声が出るようになり、良い声になっていました。
最後にはお約束通り試験をし、4日間の練習ではじめよりずっと良くなった声で無事全員試験を終えることができました。
なかなか出来ない貴重な体験をすることができた4日間でした。