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会報
第42号
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日本文学科夏期集中講座
講師:市川團十郎氏


「和をもって尊ぶべし」

日本文学、文化をすべて説明できる人はいないと思う。日本には茶道、書道、武道、華道、といった文化から歌舞伎、狂言、といったものまで独特の文化を持っている。最近では国際交流も盛んで日本の文学、文化というのは海外でも注目されている。私自身、茶道を部活でやっているがまだまだ奥が深いもので説明もあらかたしかできない。文化というのは文学との絡みもあるのではないかと思う。それは人々が長い間培ってきたものだと思う。歌舞伎というものを語る授業を通して日本の文化、文学を再考察してみた。

授業の内容は歌舞伎の歴史、西洋と東洋の演劇舞台の違い、市川家の歴史、和楽器の扱い方など興味深い話をたくさんしていただきました。歌舞伎座にも見に行き楽屋裏まで見たりと貴重な体験ができました。授業中にはたくさんの写真で浮世絵の絵や神楽の様子を写してわかりやすく説明していただき興味を掻き立てるものが沢山ありました。また授業中には歌舞伎の作法や使用する小物、羽織の使い方や和太鼓や三味線の演奏があり、先生の分かりやすい説明と共に歌舞伎の演目、浄瑠璃や狂言、神楽、能といった歌舞伎以外の文化の説明もあり、只ボンヤリとしか分からなかったことが明確になり、改めて日本の文化というのは奥が深く、また伝統のあるものでこれからも受け継いでいかなければならないと思いました。歌舞伎と聞いてもよく分からないお芝居としか感じられなかったのですが、この授業を受けてからは歌舞伎というのは昔からある娯楽で笑いを誘うもの、歴史もの等の種類があることが分かり、これからは歌舞伎等のことをあまり知らない方にも説明できると思いました。

世界には沢山の文化や文学というものが散らばっていてその国々で根づいているが日本(母国)の文化を知るということは大切なことだと感じました。冒頭の言葉は最初の授業が始まる時に先生が仰ったことで日本の文化、文学を大切にしていきたいと思いました。

3年A組 小見山 明子
(講義名・歌舞伎の伝統と美学)


日本文学科夏期集中講座
講師:緑川眞知子氏


翻訳された作品を読んでいて、違和感を覚えた経験はないだろうか。登場人物の名前が代名詞を用いずに繰り返されていたり、文末表現が単調だったり……。異なる言語間の翻訳、特に文学作品の翻訳は、一語一語が作品世界を形作っているため、非常に高度で繊細な作業が要求される。今夏の講義では、日本文学の翻訳と研究について、『源氏物語』の英訳を手がかりに学びを深めた。
『源氏物語』の英訳は、多くの翻訳者によって為されており、年代にも幅がある。世界で最初の英訳を書いたのは、明治時代の政治家、末松謙澄であった。初の翻訳に、日本の文化を世界に知らしめる、という政治的な意図があったことは興味深い。文化による働きかけが有効な手段であることは、韓流ドラマによる近年の韓国熱の例にも見られる。

幾人かの英訳を比較すると、その差異の大きさに驚く。目を引くのは日本語や平安文化の研究が反映されている箇所である。例えば、冒頭「女御更衣」の訳。アーサー・ウェイリー(一九二五?一九三三訳)が、天皇の衣装、私室の世話係という職務として訳しているのに対し、ロイヤル・タイラー(二〇〇一訳)は、天皇の配偶者、懇意の者と訳し、天皇との近しさという本質を表している。

また、タイラーは、物語の語り手を光源氏の側の女房であるとし、光源氏側の登場人物を「His?」と訳している。複雑な呼称を、語り手の視点で捉えていく手法には、「物語り」の性質がよく表れている。

感動的なのは和歌の英訳である。五七五という音の制約を、タイラーは英語においても表現している。「ふるさとを/いづれのはるか/ゆきて見ん」「O when will I go, / in what spring, to look upon / the place I was born?」。英語の母音を意識して読むと、五七五のリズムに則っていることが実感できる。

翻訳は異文化理解の上に立ち、元の文化の本質や、新たな言語表現の可能性を示唆してくれる。講義を通して、そのような翻訳の魅力に触れることができた。

3年B組 平泉 花菜
(講義名・源氏物語の英訳)
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