青山学院大学文学部 日本文学科   HOME    大学TOP    文学部    お問い合わせ  
高校生のみなさんへ
日本文学科教員からのメッセージ
文学部のパンフレットがダウンロードできます。詳しくは文学部ホームページからどうぞ。(PDFファイル・6.8MB。別窓で開きます)
日本文学科へのリンクはご自由にどうぞ。
HOME > 会報 > 第42号
会報
第42号
会報TOP |  1 |  2 |  3 |  4 |  5 |  6 |  7 |  8 |  9 |  10

二〇〇七年度 演習紹介

 上代   中古   中世   近世   近代   漢文学   日本語学   日本語教育
上代

小川 靖彦先生(専任)
<3D 山本 小百合>
私たち小川ゼミでは『萬葉集』をはじめとする、上代の書物の形態について研究しています。前期は基本的な書物の扱い方について学び、後期は『萬葉集』・『日本書紀』などの複製本を一冊ずつ担当し、その形態や内容について発表します。実際に書物に触れ、形態も含めて研究することで、当時の社会状況や古代人の美意識などが垣間見え、興味が広がります。また五感を働かせて研究をすることの楽しさも感じることができます。今年は八人と少人数だったので、和やかな雰囲気の中で自由に意見交換ができました。上代の作品だけではなく、古代史や美術、文化財に興味のある方にもお勧めの、書物の魅力の虜になる事間違いなしのゼミです。

<2B 秋山 卓澄>
みなさん、こんにちは。わが小川ゼミでは、萬葉集の研究をしています。ひとくちに研究と言っても本文だけではなく、表紙や紙の色など、いろいろな角度から萬葉集と向きあっています。前期には先生の講義を受け、理解を深める事がメインとなっています。そして後期は、学生による発表形式となっています。発表では学生はそれぞれに歌がいくつかわりあてられ、その言葉の意味や相互関係など、掘り下げて調べていきます。そしてこのゼミの最も特徴的と言えるのは教材です。萬葉集を活字ではなく、巻物を使って触れ合っていきます。このゼミでは、これまでの萬葉集のイメージを一新してくれることは間違いないでしょう。

石田 千尋先生
<3D 高橋 志奈子>
今年度は様々な神が出てくる『古事記』の上巻を読んでいます。『古事記』というのは天皇王権の根拠を明らかにすることを主軸にした歴史書ですが、上巻の神話には古代の人々の自然観や心性をうかがわせる断片が随所に散りばめられています。難しそうだと思うかもしれませんが、最初に先生が説明してくださいますし、発表では語釈から丁寧に進めていくので、少しずつ理解を深めていけますよ。

神々が多様な方法で生まれたり、妙に人間みたいで親近感がわいたり、古代の人々の生活様式や考え方がわかったり、読めば読むほどおもしろいです。みなさんも『古事記』上巻を読んで、神様の世界の物語を楽しんでみませんか?


中古

土方 洋一先生(専任)
<3年 梶村紗代子>
今年度、土方先生のゼミでは、「春はあけぼの」でおなじみの『枕草子』を扱っています。授業の流れはまず、各自割り当てられた章段について調べてレジュメを作ってきます。それを、だいたい授業の前半くらいを使って発表し、後半は発表された問題点や気づいた点などについて各自意見を出しあって討論をします。1回の発表を2、3週間にわたって討論するので、問題点について深く考えることができます。今年度は3年生と4年生がほぼ同じ人数なので、私たち3年生は先輩方の鋭い意見や問題に対する切り口、討論の仕方などを直接見て勉強することができます。授業は和やかですが、議論はとても活発なので、お互いが刺激しあって、とても充実した時間になっています。

高田 祐彦先生(専任)
<3C 小櫃 早記>
今年度、高田ゼミでは『源氏物語』葵巻を研究しています。

ゼミ生にはそれぞれ担当箇所が与えられ、その箇所について本文の違(校異)、語釈、その他の諸問題を自分の発表の日までにまとめます。授業時間は担当者の発表を受けて、全員でその内容について討論します。

『源氏物語』の本文は決して読みやすいものではないため、研究にはかなりの労力を要します。また、授業では時折想定外の質問が出たりするので自分の番の発表はとても緊張します。しかしその分の達成感は大きく、得られる知識もかなりの量があります。『源氏物語』を深く研究したい、多くのことを学びたい、という人には充実のゼミです。

岡崎 真紀子先生
<2A 浅川 真知子>
岡崎先生の日本文学演習2では『唐物語』を研究しています。各学生が割り当てられた箇所を様々な角度から研究し、資料作成・発表を行っています。図書館や日本文研究室に足を運び、調べるという作業は、卒業論文に限らず、とても重要なプロセスだと思います。私も最初はとても大変な作業で日文研究室に週3で通ったこともありましたが、日本文学科の学生にとって、必要不可欠なこの作業を本格的なゼミが始まる3年になる前にやることができて良かったと思います。その上少人数のクラスなので、先生との距離も近く、意見・疑問・相談をしやすい環境となっています。中古の文学に興味のある方にはぜひ受講をお薦めします。

吉野 瑞恵先生
<3A 和泉 文香>
この演習では『蜻蛉日記』の研究、発表をしています。『蜻蛉日記』には全編を通して私家集的側面から日記文学としての成熟の過程、文化・習慣・生活などの様々な平安貴族的要素、また逆に現代と相通じる価値観・感情など多数のテーマが見出せ、非常に興味深いテクストです。吉野先生は解説や教授がとても丁寧で、知識が広く、分からない所があれば一緒に考え、的確に指導してくださいます。吉野先生の指導の下、文学は勿論、それ以外にも、例えば結婚形態の変遷や官位官職の浮沈など膨大にあるテーマの中から各自が自由に選んで研究史、時間をかけて発表できました。ディスカッションを通してじっくり考察を深め、充実した研究になりました。

河野 貴美子先生
<3D 根葉 春菜>
おそらく日文科に所属する学生なら一度は名前を聞き、目にしているはずの「日本霊異記」。人々を仏教に導くための、日本現存最古の説話集です。このゼミでは、そんな「日本霊異記」の中から前期、後期に一遍ずつを選択し、他の歴史書と「日本霊異記」の表現の差異や類話、気になった部分の追求などの研究発表を行います。原文の漢文も読み込むため、注釈書に無い解釈に気づくことも少なくありません。また、発表者に良い質問をするのが聴く人の義務、という方針なので、質疑応答や意見交換がするどく、それでありながら気軽な調子で行われるのもこのゼミの特徴です。

日本文学と中国文学の入り混じった不思議な世界でお待ちしています。


中世

廣木 一人先生(専任)
<3A 平野 彩子>
新古今和歌集について研究するこのゼミは少人数アットホームな雰囲気でゼミ生たちはすぐに仲良くなります。もちろん先生とも。これは少人数ゼミならではの利点です。

また、初めて新古今和歌集に取り組むという人でも問題ありません。最初は基礎的な講義からスタートします。その後で前期は先生に指定された箇所について研究をし、慣れたところで後期は各自が好きなようにテーマを設定します。和歌の研究といっても切り口は人によって様々で本当に面白い! それになんといっても廣木先生はとてもチャーミング。プレゼン後の質疑応答は真剣に応酬しつつも笑いの絶えない時間です。和歌に興味がおありですか? 廣木ゼミへようこそ!

佐伯 眞一先生(専任)
<3B 小澤 ゆう>
佐伯ゼミでは「平家物語」を扱っています。自分の好きな章段を選択し、その章段の中でテーマを設定し発表しています。平家物語はとても有名ですが、よく知られている那須与一や敦盛の章段は物語の中のほんの一部でしかありません。数多くの登場人物と章段に触れてみることで、新たな平家物語の魅力に気づくことができます。

佐伯先生は和やかな雰囲気をお持ちです。そんな雰囲気に惹かれて集まる学生も多いのだと思います。ゼミの発表も穏やかに進みます。また、発表だけではなく、ゼミ飲みも行われています。そこでは4年生や院生の方々と交流することができ、とても貴重な時間を過ごせます。

伊東 玉美先生
<3D 鈴木 えみ>
日本文学科にいる人なら誰もが知っている。しかし全編読み込んでいるという学生は少ない。そんな『宇治拾遺物語』を扱っているのがここ、伊東ゼミです。

鎌倉時代成立のための、現存する類話も多く、内容としても仏教説話、笑話や動物説話などの民間説話的なものと、多彩な点も魅力です。そして、最大の魅力は、やはりゼミ内容。年一回乃至二回の発表では、担当の一話を深めます。目をつけるべき箇所は、先生が適宜指導して下さる上、各自の興味を尊重して頂けるので切り口は自由! 発表後のコメントに話題豊富で、益々研究意欲がかき立てられます。

不思議で、怖くて、面白い。おいしいとこ取りの『宇治拾遺』の世界へどうぞ。

佐藤 智宏先生
<2D 小野 護>
今年度の私たち佐藤ゼミでは『百人一首』を研究、鑑賞しています。前期は各々が興味のある歌を一首ずつ選び、これへ対する解釈、注釈等を様々な書物から調べ出して来て相違点を較べ、後期はその本文研究が演習の大まかな形式です。しかしもちろん、ただ較べておしまい、というわけにはいけません。本文研究では、先生の手助けを借りつつも、段々と読めるようになり変体仮名に対する抵抗がなくなってきました。

先生は、いつもニコニコ笑顔で、優しくとてもチャーミングな方です。また、どんな疑問にも私達の納得がいくまで熱心に答えて下さいます。

和歌に対して本当に興味があり、トコトン深くまで突きつめてみたい、という方には是非ともお勧めのゼミです。


近世

篠原 進先生(専任)
<3D 迫田 剣之介>
今年度の篠原ゼミでは『好色五人女』、そして同じ事件をモデルとした『大経師昔歴』を精読しています。発表では、まず本文を変体仮名で読み、必要に応じて語釈をつけます。その後、現代語訳を口頭で行います。さらに、それぞれ一人ずつ「江戸トリビア」として、当時の風習や風俗、様々な文化を一つ取り上げ、併せて発表します。各章を読み終わったあとは、発表者も含めて、全員が「鑑賞文」を提出します。それを次の授業の時に読み、他のゼミ生や先生と意見交換をする、というところまでが発表となります。いわゆる「楽な授業」ではありませんが、毎回多くのことを得られ、作品の楽しみ方を学べる貴重な時間を過ごしています。。

花田 冨二夫先生
<2B 中野 直樹>
この演習では、中国文学から影響をうけて日本文学が発展していく過程を、江戸初期の怪異談小説を用いて探っていきます。

まず日本の『佑婢子』の中の「牡丹灯籠」、次に原作である中国の『剪灯新話』の中の「牡丹燈記」を読みます。前者は変体仮名、後者は漢文なので読むのは大変ですが、先生の詳しい解説もあるので十分理解できます。

また、毎回自分でテーマを見つけて調べるという作業もあり、ここでは辞書や本を駆使しなければならないので、自分の調べる能力がかなり向上します。調査内容はひとそれぞれで、当時の振袖や住まいについてだったり、乙姫について、果ては幽霊と妖怪についてと様々です。骨のある楽しい授業なので、興味のある方は是非受講してみて下さい。

黒石 陽子先生
<3C 横谷 真奈>
このゼミでは、近松門左衛門の名作『曽根崎心中』と『冥途の飛脚』を読み進めながら、当時の江戸の様子(風俗や文化など)や近松という劇作家について、参加している学生と先生で一緒になって考えていくという内容で授業を進めています。受講人数が元々少なかったせいもあるのか、先程も述べたように授業は毎回学生と先生が一体となった形で展開されていて、分からないことがあれば自由に発言できるし自分の意見も述べやすいです。また毎回発言する機会があるため、ゼミ参加者同士のコミュニケーションも取れてとてもアットホームな雰囲気で授業を楽しんでいます。その反面“自ら学ぶ”という姿勢が非常に大事だと考えさせられるゼミだと思っています。

大高 洋司先生
<3C 堀口 堅太>
私たち大高ゼミでは山手馬鹿人作の洒落本、『深川新話』について研究しています。洒落本はほぼ会話のみで進行し、その会話体は現在でもはっきりと意味のわかっていない独特な表現も多数ある当時の江戸方言、いわゆる『江戸語』なので、学生の発表から先生も驚くような新たな発見が生まれることも珍しくありません。ゼミ全体が一体となって授業を構築していく一体感。、これこそが私たちのゼミの一番の魅力です。そして私が思うに、この過程を一番楽しんでいるのは私たち学生ではなく大高先生なのです。「私は洒落本を読んでいると幸せな気持ちになれるんです。」そううれしそうに語った大高先生の顔はとても輝いて見えました。


近代

日置 俊次先生(専任)
<3A 野中 千嘉>
普段、他者の作品を批評することはあっても、自分の作品が批評される機会は少ないと思います。このゼミでは現代短歌の研究と実作を行い、その両方の立場になって学ぶことができます。ゼミ生は全員同じ題で歌を詠みます。歌に詠み込む内容は身近な人のことや、自分の考えなど人それぞれです。そして歌を授業で発表してその場で批評し合います。その際は自分のした批評は全て自分に帰ってくるという意識が必要です。また前期の授業では多くの現代歌人の作品について学び、青山散策にも出かけました。これらの経験により自分の作品をよりいっそう高めることができ、青山という地がいかに歌人と縁の深い場所であるかを実感することができます。

<2D 三上 一貴>
「えー、皆さんコンニチワ。」という日置先生の挨拶と共に始まるこの授業。一見ごく普通の授業風景だが、次第に教室は日置ワールドに侵食されていくのだ。

それぞれ与えられたテーマを基に、生徒たちは各自研究を深め、プレゼンテーションを行う。オーディエンスからの質問・応答を受け、ディスカッションも過熱していく頃、日置先生が立ち上がる。「いいですか、これから言うことは学会で僕ひとりしか主張していません。この話を聴けるのは日本でこの教室だけです。」学生は皆、日置先生の新説を理解する為に、日々研究に励んでいる。「ここで行われている議論は、かなり高い次元で行われていますよ。はっきり言って大学院レベルだと思います。」そんな日置先生の激励も嬉しい限りです。

生方 智子先生
<3D 横山 佳代子>
生方先生のゼミでは近現代の日本文学作品ついて幅広く学んでいます。前期では先生の指定した短編の中から好きなものをえらんでの発表を行いました。後期は夏目漱石の『彼岸過迄』という長編を全員共通の題材として発表を行っています。発表のテーマは特に決められているわけではないので、同じ作品をとりあつかっている発表でも、発表者によって、180度異なる視点やテーマが設けられているのが面白いです。生方先生が発表終了後に毎回ミニ講義をなさってくださるのですが、物語内における身体のイメージ≠フ考察や構造・時代背景等、多岐に渡る興味深い講義はまさに目から鱗。今まで知らなかった知識を得ることができる、実りの多いゼミです。

小林 幸夫先生
<3D 斎藤 潤>
本年度の小林幸雄先生のゼミでは、谷崎潤一郎の作品を専門に扱います。  今年取り上げている作品は『刺青』・『秘密』・『少年』・『小さな王国』などの谷崎潤一郎初期の短編作品や、『吉野葛』・『蘆刈』など多岐に渡ります。

授業は、割り当てられた作品を担当する学生が研究発表し、それについて先生と学生が意見を述べ合います。時には先生からの厳しいご指摘や難しい問いもありますが、発表者と学生、そして先生が一体となって作品について追求していき、とても充実した内容となります。研究発表や意見の交換は勿論、個々の作品に対する理解についてもとても質の高い内容となっています。

佐藤 泉先生(専任)
<3A 太田 裕子>
戦前から戦後にかけての文学論争を扱い、それを通して歴史や思想について発表形式で授業を行います。わたしは大杉栄について発表しました。大杉は革命家として虐殺のその時まで生涯をかけて革命を志しました。「エクスタシーとアンツウジアズムを生み出す動的美を求めるべきだ。これは征服の事実に対する憎悪と反逆によってのみ実現しうる創造的文芸である」。文学の革命と同時に革命の文学。相対的に接しようとしても読み終えると無政府主義者だった。大杉が私を捉えたのは思想と行動の一体である。先生が自分が歴史の主体であるという言う意識を持つという話をした。思想を考えることで『セカイ』が前より近くなった。関係ないことじゃない。何も関係ないことじゃない。そう思うようになりました。

古川 裕佳先生
<2A 板谷 絢乃子>
私たちの古川ゼミでは大正時代の文学、主に「白樺派」と呼ばれた作品を取り上げて学んでいます。 古川ゼミは人数が三人という少なさなので非常にアットホームな雰囲気です。ひとりひとりが必ず発言し、濃い意見交換が行なわれています。前期は武者小路実篤の作品を取り上げ、彼が創設した「新しき村」という村について考察しました。この村は当時の芸術家たちが、自分達の理想となる生活を営むことを目標に作られました。いちから村を作るということで、当時多くの話し合いの場を持ったでしょう。教室で「なぜこの村を作ったのか」と話し合っていると、当時の武者小路差熱たちもこうであったのだろうか、と思いを馳せてしまうこともしばしばです。


漢文学

大上 正美先生(専任)
<3D 山口 百恵>
今年度、このゼミでは、前期に孟浩然の詩を通して彼が陶淵明をどのように受容しているのかを検討していきました。孟浩然の詩を一首担当し、様々な文献を参考にしながら奥深く追求していく作業はとても大変ですが、調べる力は必ず身に付きます。分らないことがあっても先生の研究室に行けばほとんど解決できちゃいます。大上先生は、私たちの質問に対して非常に丁寧に答えてくださいます。人数は少ないですが、優しく気軽に話しかけてくださる先生のそのお人柄そのままに良い雰囲気で授業が進められています。

漢文に長い間触れていない人、漢文は得意ではないけれどやってみたいと思っている人、とにかくやる気があれば大丈夫です。

山中 恒己先生
<2C 山下 和也>
この演習では、春秋・戦国時代の名著を読むことを通じて諸子百家の思想に触れていきます。授業では、毎回ひとつの短い文章を扱い、その文章や人物についてのイントロダクションがあります。また、あらかじめ各自に一編が割り当てられており、授業ごとに担当者が調べてきたことを発表し、理解を深めていきます。各自が終わるごとに小テストがあるので、無理なく学習を進められます。授業で扱う文章は白文ですが、授業中の解説や配布されるプリントが丁寧なので、漢文に慣れていない人でもしっかりとついていけます。

普段からよく用いられている故事成語の意味やその成立について理解を深められる、そんな楽しさを実感できる演習です。

田口 暢穂先生
<4C 鈴木 絵里>
この演習では、白居易の『泊詩選』におさめられている漢詩を読み進めていきます。毎回担当者が一人一首を担当し、発表と討論を行います。講義のはじめには、文法事項や時代背景、テーマへのアプローチの仕方、資料の探し方など、基本的な知識は先生が全て教えてくださるので、漢文学を学んだことのない方にも理解しやすい講義です。漢詩を読むのは、訳や書き下し文をつけるだけではありません。その背景には、その作者の想いがあります。一首の漢詩の中から、恋愛や友情観、喜怒哀楽といった様々な感情を読み取ることができます。現代の私たちでも、遥か昔の中国の詩人を理解する事ができるのです。この演習で、白居易に出会ってみてはいかがでしょうか。

向嶋 成美先生
<3D 伊丹 友里>
本年度このゼミでは、『論語集詮』をテキストに、一年間論語を学んでいきます。前期は、読むのに慣れるため、「論語序説」を扱い、本文を先生が、詮の内容を学生が読んでいくという形式をとりました。わからない時は先生が教えて下さるので、漢文は受験でやったきり、という人でも大丈夫です。

学生は多くありませんが、中国大使の来日に、急遽授業をつぶして講演を聞きに行ってしまうなど、少人数ならではの気軽さもあります。

これから漢文を学ぼうという方も、論語の研究を考えている方も、中国に興味のある方も、是非、向島先生のゼミをおすすめします。


日本語学

安田 尚道先生
<3A 喜多村 康子>
天草本伊曽保─これが何だか分りますか? このゼミで扱う教材…そう、イソップ物語です。それもキリシタン版。日本に来た宣教師達が日本語を学ぶため当時の発音に近いローマ字で書かれています。私達が知っているローマ字表記とは異なる部分が多く、慣れない間は綴り字と五十音図の対応表を見ながら読みます。そして16世紀末に刊行されたため耳慣れない言葉がしばしば登場するので、辞書で調べて発表します。綴り字の解読を誤ると全く違う言葉になってしまい調べている最中に『あれ?』なんて事もありますが、そこも伊曽保の面白い所だと私は思います。

<3A 喜多村康子>
平安時代の和歌を教材とし、何百年もの昔に書かれた古代語に直接触れるという貴重な体験ができるゼミです。また大変研究熱心な安田先生は学生一人一人の能力に合わせてきめ細かい指導をしてくださいます。そのため、始めは変体仮名の知識などゼロに近かった私も授業を重ねるごとに次第に自分の力で読める感動を味わえるまでになりました。授業としては学生自身が翻訳をする演習形式が中心となりますが、安田先生が講義として話して下さる、その和歌の詠まれた時代背景や連なる言葉の裏側に秘められた読み手の心情などを聞くことができるというのもこのゼミの魅力であると思います。

近藤 泰弘先生(専任)
<3B 登坂 香子>
近藤ゼミでは、文法を中心とした日本語学研究を行います。各自興味を持ったテーマを調べ、プレゼンテーションしゼミ生全員で議論しあうものです。語学といっても堅苦しい物ではなく、最近巷で噂の間違っている現代の日本語の問題や、流行語、方言にもつながっていて、新しく現代的で、魅力的な研究ができると思います。このゼミでの研究は、自分の見つけたふとした日本語への疑問が、文献との比較考察、そしてプレゼンテーション内での議論を経て、一つの論文としてでき上がるので、とても達成感があり、その経過の中で新しい興味が生まれることも少なくありません。近藤ゼミは、身近なところから日本語学の面白さを教えてくれます。そして楽しく語学的考察が学べ、様々な興味を与えてくれる魅力的なゼミです。

<2D 松上 あかり>
近藤先生率いる「日本語学演習」のゼミの指定席はパソコンの前。なぜかといえば、学生は各自作成したホームページを持っていて、それを発表時にゼミ内の学生が各々のパソコンで開き、そしてそれを見ながら発表者のプレゼンテーションに聞き入るからです。私も「普通におかしい」という言葉をテーマに、日本人の根底にある思想に迫ろうと研究発表をしました。日本国語大辞典の調査に始まり、最近のブログの記事を読み漁るまで………ありとあらゆる切り口から、目に見えないけど確かにある……そんな言葉の持つ普遍性の尻尾を掴もうと、皆真剣に取り組んでいます。いつも我々の隣にいる言葉達……隣人なのによくわからない不思議な存在を、一緒に研究してみませんか?

屋名池 誠先生
<3B 平泉 花菜>
文字の書き方に疑問を持ったことはありませんか?

実は日本語の文字表記は、漢字、カタカナ、ひらがなの三種が混用されていたり、漢字に音・訓二つの読み方があったりと、かなりユニークなシステムを持っています。

屋名池ゼミでは、文字に関わる諸問題を考察していきます。文字表記は、いまだ研究が進んでいない領域。固定された概念に捉われずに、多様なテーマを設定することができます。二〇〇七年度は、絵文字や日本語の三種の文字の使い分けなどのテーマが出ました。

前期のはじめは、先生が文字について講義して下さるので、予備知識が無くても大丈夫。知れば知るほど興味深い文字の世界、ぜひ探求してみて下さい。


日本語教育

山下 喜代先生
<4年 黄 潤珠>
日本語教育コースのゼミでは、今日の日本語教育における問題を具体的に考え、実践的な研究・調査をします。3年のゼミの内容は、教科書分析、コースデザイン、模擬授業などで、4年に実習がありますが、各グループの研究した内容について、皆で考え、協力しあうことで、授業内容を深くすることが出来る特別な授業だと思います。

このゼミの特徴は4年の実習ですが、それに備え、3、4年生で日本語教育とはどのようなものなのかを学び、実際に本校の受入交換留学生に対する日本語指導を経験することによって、現時点での日本語教育というものをさらなる視点で見ることができます。

比較的少人数で成り立っていますが、少人数だからこそ、みんなで楽しく学び、実際的な日本語指導の経験を通じて、多くの新たな発見をすることができると思います。

私には、授業の一つ一つがとても興味深く、新鮮に感じられ、新しい知識を得ることができましたし、それ以上に良かったのは、授業のたびにみんなで話し合い、授業を楽しむことでゼミの仲間を思いやり、強い繋がりを感じられたことです。

川端 芳子先生
<3C 山本 恵梨子>
川端先生のゼミでは、日本語学と日本語教育のふたつの視点から、日本語の文法や使われ方について皆で考えていきます。とても和やかな雰囲気ですので、意見をいいやすく、誰でも積極的に授業に参加できます。また先生は私たちの質問にとても丁寧に答えてくださいます。

日常生活で無意識に使っていることばに焦点をあて、みんなで意見を言い合っていると、改めて日本語について考えさせられ、新しい発見がたくさんあります。

学ぶことの多い授業で、何よりも川端先生が素敵な方なので、みんなこのゼミを毎週楽しみにしています。このゼミならきっと楽しく日本語について学ぶことができます。


余白にひとこと
同一の教員が担当するゼミの紹介は、「三年生ゼミ」、「二年生ゼミ」の順で文章を掲載しています。ゼミは教員・学生がより身近に触れ合うことのできる授業ですね。

国内留学等により、矢島泉、片山宏行の両先生は、二〇〇七年度に授業を開いていません。大屋多詠子先生は今年着任されます。そのためゼミ紹介は掲載されていません。二〇〇八年度は新しい教員体制となります。

今回、この会報はデザインを刷新し、全頁カラー化を実現しました。昨年までの会報は、紙を重ねただけの簡素なものでした。今年は紙質も向上させ、しっかり綴じた冊子となっています。学生委員のがんばりによって、とても立派なものに仕上がったと思います。慣れない仕事に何度もとまどいながら、心血を注いで編集してくれた学生委員の皆さん、どうもありがとう。

(日置 俊次)

会報TOP |  1 |  2 |  3 |  4 |  5 |  6 |  7 |  8 |  9 |  10