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会報
第42号
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巻頭特別随筆

多 士 済 々
青山学院大学前学長 武藤 元昭

三月で三十八年間勤めた青山学院大学での教員生活を終える。

日本文学科の教員として本当に楽しい日々を過ごさせて戴いた。中で一番印象深いのは、やはり学生諸君とのお付き合いである。これがなかったら、大学教員になる意味は殆どなかったのではないかと思える程である。学長になっても、ゼミの担当は外してもらわなかった。学長在任中、あるインタビューでゼミをもっている旨話したら、元某テレビ局のアナウンサーだった女性インタビュアーに怪訝な顔をされた。色々な大学の学長に順次話を聞くというシリーズであったようで、私はその何番目かであったらしいが、それまでそういう例は皆無であったというのである。私には、そういうことの方が驚きでもあったが、現実にはどうやらそうらしい。苟も大学教授である以上、ゼミを持たないというのはあり得ないと私は考えていたのである。

若い学生諸君との付き合いがあった所為で、私は常に新鮮でいられた。来年一月には古希を迎える身であるが、世間一般の同年齢の方々より若い気分でいられるのは、多分に学生諸君との付き合いがあったことが作用しているのではないかと思う。

ゼミの学生諸君との付き合いは、甚だ興味深かった。江戸戯作の舞台となっている文学遺蹟を訪ねる文学散歩を春と秋に行ったり、自宅で新年会を催したり、年に数回コンパを行ったりと、授業以外でも学生諸君との接点は数多くあった。卒業後二十年以上経ても尚拙宅で新年会を行っているゼミの諸君もいる。これらを含め、卒業生諸君と付き合っていると、彼らが実に多方面で活躍していることに喜びを覚える。

推薦入試等の面接で受験生と話をすると、日本語教師になりたいといった希望をよく聞いた気がする。私は四年前から面接に関わらなくなったから、現在の状況は知らないが、多分そう大きな変化はないと思う。それを一例として、入学前には一応日本文学に関連する仕事を目指している人は多い。しかし、四年後にはそういうことに関わらない仕事に就く人がほとんどである。それはむしろ当然である。社会はそう思うようには進んでくれない。

しかし、私は日本文学科の卒業生には、各々の人間性を認められて各界で活躍されている人が非常に多いと思っている。 文字通り多士済々である。やはり、基本的に日本文学科の卒業生の多くが、社会に好意的に受け入れられる資質の持主だからだと思う。それは日本文学科の空気が和やかで開放的だからであろう。日本文学科は、青山学院大学の中でも最も青山らしい学科の一つであると思う。今後もそれを堅持していってもらいたいと切に願う。

三十八年間、日本文学科にお世話になったことを心から感謝したい。

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