青山学院大学文学部 日本文学科   HOME    大学TOP    文学部    お問い合わせ  
高校生のみなさんへ
日本文学科教員からのメッセージ
文学部のパンフレットがダウンロードできます。詳しくは文学部ホームページからどうぞ。(PDFファイル・6.8MB。別窓で開きます)
日本文学科へのリンクはご自由にどうぞ。
HOME > 会報 > 第42号
会報
第42号
会報TOP |  1 |  2 |  3 |  4 |  5 |  6 |  7 |  8 |  9 |  10

国際学術シンポジウム

「文学と毒」について
三年D組 塚本 飛鳥

今年の夏休み集中特別講義で、今年度本学客員教授の市川團十郎先生は「白血病の特効薬は、猛毒とされる砒素からできている」と話してくださいました。毒であるものが薬となる。一見矛盾に思えますが、私達が作品を読む時にも単に作品のスパイスと言うだけでは収まらないそのような「毒」の表現に出会うことがあります。

四回目となる青山学院大学日本文学科国際シンポジウムはそのような「毒」について探るということを目的に「文学という毒」と題し、学校内外から多くの先生を向かえ二〇〇七年九月二十三日に開催されました。

本学日本文学科教授の廣木一人先生からの挨拶、同じく本学日本文学科教授の篠原進先生からの今回の説明が行われた後、第一部の対談へと入っていきました。この対談は市川團十郎先生と本学日本文学科教授であり学長の武藤元昭先生により「歌舞伎の毒と悪をめぐって」というテーマで行われました。

その後第二部のシンポジウムへと移り、「文学という毒─江戸の奇想はこうして生まれた」というテーマのもと、本学英米文学科教授の富山太佳夫先生による「ガリヴァー旅行記および当時の政治風刺」、アバディーン大学のマイケル・ガーディナー氏による「ブラック・ユーモア」、首都大学東京教授の高山宏先生による毒のように機能する文学とは何なのか、その周辺を絡めた報告、東京大学大学院教授の長島弘明先生による「秋成小説の「毒」」、本学日本文学科教授の大上正美先生による「中国古典文学の「言志」と <毒>」、篠原進先生による「浮世草子の毒と奇想」、というタイトルと内容で六名の先生の報告が行われました。そして総括として、報告を聞いた方からの質問や意見を元に白熱した議論がなされ、あっという間に外は薄暗くなっていました。

この日、一時は座る場所もなくなるほど、会場の青山キャンパス総研ビル大会議場に沢山の方が集まりました。ノートをとりながら熱心に聴講される姿も多く、その関心の高さが伺い知れました。一口に「毒」と言っても、それが内包するものは広く奥深いものです。その作用の仕方や功績や垣間見える人々の姿に触れ、文学の毒とは一体どういうものかということについて、文学や文芸の表現方法の深さについて、多くを考え学ばせていただいた一日でした。

会報TOP |  1 |  2 |  3 |  4 |  5 |  6 |  7 |  8 |  9 |  10