二〇一〇年度演習紹介
上代
矢嶋泉先生(専任)
<4C 石山 直毅>
『古事記』は、日本史において『日本書紀』と並んで日本最古の歴史書として登場します。とりわけ『古事記』は、口頭で伝承されていた神話や説話を寄せ集めた物語、素朴で原始的、といったイメージを持っている方も多いと思います。しかし矢嶋先生は、『古事記』はひとつの結論を導くために“高度な意図性”を持って構成された書物であるといいます。演習では生徒が担当箇所を発表していきますが、先行文献を調べることよりも、自分なりにどんなことを考えたかが重視されます。表面的な神話の数々にとどまらない歴史書『古事記』の真の面白さに触れてみてはいかがでしょうか。
小川靖彦先生(専任)
<2B 佐藤 織衣>
小川先生のゼミでは『万葉集』の主に恋の歌(相聞歌)を授業のテーマとし、13名で毎回議論を交えながら楽しく研究しています。歌を歌だけでなく、書(紙や筆跡)も同時に考えることで、歌本来の姿を味わうことを大切にしています。歌は昔の言葉で詠まれているため難しそうに思われますが、丁寧に読んでみると、意外と現代の私たちにとっても身近なことが描かれていて、思わず共感したり、読んでいるうちに切なくなったりと、千年以上前に生きていた人物と歌を通して思いがつながる感覚を味わえます。歌に興味がある人はもちろん、古文は苦手と思っている人でも楽しめるゼミです。
<3D 高田早紀子>
小川先生のゼミでは、古代書物の研究を中心に行っています。前期には、巻物・巻子本の歴史や表紙の紙質・色・素材はどのような物が扱われているのかを学びます。紙の厚さを測ったり、顕微鏡で紙の繊維を見たりなど普段は経験出来ないような事もこのゼミを通して学べます。授業後には一人一人の意見・疑問を発表する時間もあり、その場で先生は質問に答えて下さるので毎回新しい知識を得ることが出来、とても刺激のあるゼミです。
後期には、割り当てられた古代巻物を各自で調べ必要な部分を測り、自分が気になったなどを細かく追求します。
河野貴美子先生
<3A 長嶋 純代>
河野ゼミでは、『日本霊異記』について学んでいます。仏教説話や不思議な話に興味のある方には特にお勧めのゼミです。クラスでは、序文や他のいくつかの話を通し、同書の概要を学んでいきます。また一人二話選び、前期・後期を通し発表していきます。発表内容は、他書との比較でも良いし、気になる言葉について調べても良いという自由なもので、自分の興味あることについてとことん追求できます。毎回の発表に対し皆で感想や意見を述べ合い、他人の発言による新たな発見や、感心させられる事も多々あり、とても楽しいゼミです。

中古
土方洋一先生(専任)
<3C 風間 朝>
今年の土方ゼミでは『更級日記』を題材に、議論をしています。
私は今まで『更級日記』にはほとんど触れたことがなかったのですが、発表者の着眼点をもとに素朴な疑問から取り組み、大きな問題に発展させ、時間が足りなくなるほど議論が白熱することもあります。4年生や大学院生も参加していることで、より広い知識や考え方を共有しながら議論することができます。またゼミ旅行(今年は京都)やコンパなどを積極的に行い、学生同士が仲良くなることが、充実した授業内容につながっていると思います。
高田祐彦先生(専任)
<2D 尾関 佑紀>
<2C 伊藤 英梨>
皆さんは、『更級日記』が物語好きで夢見がちな、ごく普通の少女の生涯の日記だと言うことをご存知ですか?
高田ゼミでは、毎週特定の箇所を深く読み込みながら、この表現はこうも取れるのではないか?作者は何故こんな行動をとったのだろう?など、様々な角度からの解釈を論じます。とは言っても千年も昔に書かれたものですので、不明な点だらけ。時には博識な先生も一緒になって悩みながら、唯一無二の解釈書を創り上げています。筆者の文章の癖や、奥に秘められた思いを感じられた時、平安の少女とも友達になれる気がしてくる、そんなロマン溢れるゼミです。
<3C 佐々木麻由子>
今年度の高田ゼミでは、『源氏物語』夕顔巻を研究しています。
授業では、それぞれの担当範囲の語釈や考察を発表し、それについて全員で討論するという形式を取っています。そのため自分の担当範囲だけでなく、他の箇所についてもしっかり読み込んで、あらかじめ疑問点を見つけておくことが大切です。『源氏物語』の中でも謎の多い夕顔巻を読み解いていくのは簡単なことではありませんが、討論をしていく中で、自分だけでは気付かなかった新たな視点を発見することができます。源氏物語を深く学びたい学生にとって、とても充実した時間を過ごせるゼミだと感じています。
佐藤道生先生
<3B 関口 祥子>
<3C 大塚 祐未>
<3D 安念 悠紀>
今年度、この演習では『詩序集』を学んでいます。『詩序集』と言っても聞き慣れない作品名ですよね。
『詩序集』は漢文ですが、日本の貴族たちが作った文章で、詩序の背景を知ることで彼らの風雅を愛する心を追体験するきっかけにもなります。
佐藤道生先生は、普段は他の大学に勤めていらっしゃる先生です。授業は先生の解説が中心で、少人数なので質問もしやすく、テスト対策も心配ありません。先生は話題が豊富で、鎌倉時代の雑学も身に付くので、鎌倉あたりが好きな人は是非!
とまあこんな感じです。でもほんとアットホームで楽しいゼミですよ。

中世
佐伯眞一先生(専任)
<3B 平井 杏実>
佐伯先生のゼミでは、中世文学の代表作『平家物語』について研究しています。前期は各自好きな章段を選択し、様々な文献と比較、考察を加えて発表を行いました。
発表内容はかなり自由に設定でき、選択した章段に絡むことであれば先生が癒しの笑顔で許可して下さいます。もし不明な点があっても的確なアドバイスや参考文献のヒントを貰えるので安心! 発表後もユーモア溢れる補足や丁寧な評価を下さるので一層知識が深まります。
自由な発表をしたい、素敵なコメントが欲しい、先生に癒されたい、そして何より『平家物語』に興味があるという方には一押しのゼミです!
大橋直義先生
<2A 沖田 泰大>
お伽草子と聞いてなにを思い浮かべるでしょうか。『浦島太郎』、『一寸法師』…それだけではありません。お伽草子の中でも、本地物(寺社の起源を語る物語)の『熊野の本地』をこの演習では扱っています。授業では二人一組のペアを作り、割り当てられた箇所の諸伝本の読み比べを一人二週間ほどかけて行います。そして、自分たちなりの解釈や考察を発表し、授業で読み込む中で生まれた疑問点をディスカッションしていきます。本地物を扱っているため、関連資料の範囲は和歌・仏教と広範囲に及びます。日本文学において「読む」とはどういうことか、基礎完徹な演習です。
近本謙介先生
<3C 増井 由希>
近本先生の演習では『発心集』の慶安四年版本と神宮文庫本の比較研究をしています。これら二つは同じ『発心集』ではありますが、説話配列の異同や、文章の追加・欠落が見受けられます。担当者がそれらを指摘し、差異の理由を皆で討論します。先行研究の中からではなく、自分なりの根拠を持って答えを探します。理解を深めるには、鴨長明自身のことや当時の時代背景を知らなければなりません。最初の数回は導入として、先生が鴨長明について講義をしてくださるので、鎌倉文学に詳しくなくても安心です。興味のある方は是非受講してみてください。
山本啓介先生
<3A 白濱 はな>
この演習では『新古今和歌集』を扱っています。春、夏、秋、冬、恋の歌など、それぞれ興味のある歌を選び発表をおこないます。和歌についての知識がなくとも参考資料の使い方から先生が熱心に教えて下さるので安心です。「私はこの歌人の歌が好き」「恋の歌について学んでみたい」などといった気持ちを尊重し、自分の担当する和歌を自由に選べるのでやる気も向上します。そして自分以外の発表の内容で気になったことも率直に質問や意見を交換し合うことによって様々な見解から和歌を見ることができ、より理解を深めることができます。三十一字の中にある魅力に触れてみて下さい。

近世
篠原 進先生(専任)
<3D 大村 理沙>
篠原ゼミでは、井原西鶴の奇談についてレポーター(担当者)が研究・発表し、そこから全員で自由に議論を深めていきます。アットホームな雰囲気の中、都市伝説・商道徳・結婚観・ロリコンなど、幅広い視点で検証を重ねます。従来の研究や解釈にはとらわれないスタンスなので、ゼミ生からは毎時間個性溢れる意見が飛び出し、驚きと発見が絶えません。また、太宰治や井上ひさしのように、西鶴作品をリライトすることも、このゼミでは求められます。
「西鶴を読み、西鶴を書き、西鶴から語る」そんなお洒落で濃厚で刺激的な時間を、篠原ゼミで過ごしてみませんか?
大屋多詠子先生(専任)
<3B 溝渕いずみ>
大屋ゼミでは今年、黄表紙の祖といわれる恋川春町の『悦贔屓蝦夷押領』を注釈しています。源義経が蝦夷に逃亡したという伝説をふまえた内容です。一丁を一人で担当し、本文の翻刻や語釈はもちろん黄表紙は絵が主体であることから、絵に描かれている鎧、兜、着物の模様、食べ物などを担当者は詳しく調査して報告しています。黄表紙はまさに現代の漫画のようで江戸時代の風刺性や笑いの質を学ぶことができ、大変面白いです。大屋先生は穏やかで、親しみやすく、重要な個所を適宜指摘して下さいます。江戸時代の粋で滑稽な世界に興味がある方はぜひ。
近藤瑞木先生
<2D 仲谷 美有>
皆さんは「妖怪」について詳しく学んだことがありますか。妖怪という存在は知っていても、それについて掘り下げて学ぶ機会はあまりないのではないかと思います。
この演習では、江戸時代の狩野派絵師鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』に描かれている妖怪たちについて、調査、分析、考察をして、石燕が絵に込めたメッセージを解読するという授業を行っています。
絵を題材にするため、ただテキストを読むのとは少し違う、新鮮な思いを抱けると思います。
妖怪に興味がある方、謎を解き明かしたいという探究心がある方に是非受講をお勧めします。
深澤了子先生
<3B 大泉 舞佳>
芭蕉の『おくのほそ道』の旅を授業を通じて辿っていくゼミです。芭蕉が旅の目的としていた、西行など古人の軌跡である歌枕に着眼しながら、芭蕉の旅への思いを考えます。『おくのほそ道』の一番の魅力は、それが一つの物語であるということです。芭蕉に随行した曾良の日記と比較すると、歌枕を訪れた順番や旅の日程の違いが多く見受けられます。なぜ芭蕉はこのように変更したのか、芭蕉が『おくのほそ道』という作品に何を意図したかったのかを討論することで、作品への見解を深めていきます。

近代
日置俊次先生(専任)
<4D 三上 一貴>
日置先生のゼミでは、短歌について研究しています。五・七・五・七・七の短い音数で自分の言いたいことを表現するのは非常に難しく、なかなか奥が深いものです。毎週、指定の題に合わせて一首ずつ歌を作り、教室で歌会を開きます。歌会では、一人ずつ自分の歌を朗詠し、お互いに評価をし合います。時には厳しい評価を受けることもありますが、皆の目に触れて初めて解ることも沢山あり、勉強になります。
天気の良い日には外に飛び出し『青山散策』へと出かけることもあります。知っている様で知らない青山界隈をピクニック気分でお散歩します。日置先生の明るい雰囲気のお陰で、楽しく和気藹々と日々短歌の精神を深めています。
佐藤 泉先生(専任)
<3C 小林 優香>
このゼミでは、主に近代の文学論争について研究しています。毎週担当者がレジュメを作成して、発表し、意見を交換して理解を深めます。
論争というと堅苦しいとか、とっつきにくいというイメージがあるかも知れませんが、一つの主張に対する作家や思想家ごとの様々な考えをひも解いていく事は、その人の主張を知るだけでなく、当時の社会情勢を学ぶ事にも繋がり、興味関心が広がります。
取り扱う文章には難しい表現や用語が出てくる事もありますが、一人で学ぶのとは違い、ゼミなので先生の説明やゼミ生の発表を聞く事ができ、分からなかった事柄に納得したり、また新たな疑問に気付いたりと毎回新たな発見があります。
黒田俊太郎先生
<2A 酒井 優衣>
黒田先生のクラスでは、明治の文学という括りの中で様々な作品を探求するヒントを与えられます。初出、初版本や先行研究及び同時代評の調査といった初歩的な方法すら、この演習に参加する以前の私には全く未知のものでした。また、各々のグループが展開する総合分析に、黒田先生のより包括的で、莫大な知識に基づいた巨視的な論が加わり、更なる理解とともに我々の論点が一歩進んだ見地へと毎回の授業で導かれます。近代文学の解釈の仕方をはじめとしてその奥深さを知る機会を与えてくれたのはこの演習であるように私は思います。
小関和弘先生
<2A 小林 光大>
この演習は宮沢賢治『春と修羅』を扱います。毎回一編の詩を題材に、学生それぞれが感じた世界を持ち寄り、透明に重なる複合的な心象を見出そうと試みます。小関先生は初回の講義で、おもむろに詩集を開き、上下逆さまにして学生に見せながら、紙の半分を満たしている詩の余白の意味について問いかけました。見えるもの、見えないもの、文字で語られていること、語られていないこと。文学には一人一人のほんとうが、たしかにそのとおりに描かれています。賢治の見た「第四の次元」に飛び込んで、気層のひかりの底を、感官の遙かな果(はて)を、小関先生と歩いてみませんか。
五味渕典嗣先生
<3C 中村 友美>
五味渕先生のゼミは、精読の実践です。テキスト分析の技術を高め、日本語による表現の広がりと可能性について考察します。テキストは谷崎潤一郎の『蘆刈』(一九三二年=昭和七年)で、各回演習形式で精読し、発表を行います。このゼミでは小説の精読だけでなく、円熟期の谷崎潤一郎が言語としての日本語に対して独自の明察を展開して作り上げた高度に洗練された作品世界について、その可能性を明らかにしていきます。作品と作者、時代背景をもとに、作品における全ての可能性を追います。
庄司達也先生
<3C 高沢 有紀>
私たちのゼミでは、作家芥川龍之介が実際に体感した美術や演劇、音楽などを年表や全集にそって検証、調査し深く掘り下げてゼミ生と講師である庄司先生を含め、全員で議論を重ねています。実際に芥川の見たところまで訪れて写真を撮ってきたり、地道に新聞を端から端まで調べたりアクティブかつ地道な調査で毎回の発表はとても充実しています。特に庄司先生が持ってきて下さる貴重な資料などは、過去の芥川らと現在の私たちに同じものを見る機会を与えてくださり、とてもいい体験ができます。調べ方も丁寧に教えて下さるので、調べる楽しさも知ることができました。
鈴木貴宇先生
<3A 黒岩 実可>
鈴木ゼミでは近現代の作品を読み、自分の考えを発表していきます。様々な作品を扱うため自分では読むことのなかった本と出会えます。また作者の意志をくみ取りながらも、自分がどう感じ取ったかを言語化することで表現力の向上につながります。そして先生からその時代の建築様式を伺うことで情景が広がりを持ち始め、さらに他の見解を聞くことで多角的な視点からより深くとらえることができます。「じっくりと作品とも自分とも向き合うことができる。」
これがこのゼミの魅力でしょう。
読み続け考え続けることが必要ですが、きっと自分の世界が広がっていくことに気付くはずです。

漢文学
大上正美先生(専任)
<2B 七戸 音哉>
「眠たいナァ、誰か代わりに授業してくれへんか?」最近とみにイタイ腰を庇ってヨッコイショ、と座ったOセンセイをゼミ生達は黙ってニヤニヤしながら眺めている。センセイが実は授業が好きなのが分かっているため、あえて「喫茶店にでも」とはイワナイ。
「世説新語」を読むフリをしながら皆の性格を考え、切り口を巡らすセンセイを前にゼミ生も又、読むフリをしながら「世説」の人々の如く徹底的に自分の「ことば」に拘っている、ベンキョウ、否ブンガクとはそんなものだよね、と。各々の時間が過ぎた後、センセイ今度は黙って立ち上がり、足取り重く、奥様の待つ多摩の里に結んだ庵へと帰っていく。
<3C 小野かおり>
私達は、『世説新語』に取り組んでいます。
前期は徳行篇を扱い、一人一話を担当し、漢字の意味から全体の解釈に至るまで丁寧に報告して、発表後は全員でその話のなかから読みとれる徳行とは何かについて議論し、考えを深めていきました。
各話は、個性的な人物による機知に富んだ言動をもって締め括られますが、その人物像を調査していくと、当時の社会体制下で生き抜く為に抱いた葛藤、奇人を演じる苦悩といった独特な生き様が浮かび上がってきます。
そんな極限状況にあっても信念を貫いた名士の姿を文中に確認する度に、漢文は人間を描いた文学なのだと実感できる充実したゼミです。
狩野 雄先生
<2A 畠 周平>
私が言えるのは『三国志』好きならこの演習を受講すれば間違いない、ということだけです。まず演習の内容としては今年の前期では『三国志』の「蜀書」を学生たちで訓読し、狩野先生がそれに対して訂正を加え歴史的背景の説明をしながら進みます。後期では正史『三国志』と時代小説『三国演義』を学生が比較研究し、発表します。
またこの演習では学生と狩野先生との距離が近く雰囲気も和やかで質問も気軽にしやすく、またしばしば先生がされる小話も興味深いものが多いので、非常に楽しいです。
『三国志』に少しでも興味があれば、この演習を受けてみてはどうでしょうか?
大村和人先生
<3B 佐藤いずみ>
大村ゼミでは司馬遷の『史記』の「項羽本紀」を読みながら、漢文訓読と中国の歴史や文化を学んでいます。訓読と訳を予習し、授業では一文ずつ丁寧に解読していきます。
漢の時代までの話ですから、現代でそれも日本に生きる私たちにとって、訳ができても疑問点がたくさん出てきます。なぜ字(あざな)があるのだろう。この儀式はなんだろう。同じ漢字でも日本語とは意味が違うのだろうか。毎回質問があれば先生が解説してくださるので、納得しながら進めます。
基礎から丁寧に学べる授業なので、漢文が苦手な方でもおすすめです。
樋口 泰裕先生
<3C 竹内 美湖>
漢字の渦。本ゼミでは、唐詩入門書とも言える『唐詩三百首』から幾つかを取り上げ学んでいる。面白いのは、テキストが中国における『唐詩三百首』の注釈書である、という点だ。勿論、注釈も漢文なので、注釈者の薦める参考文献、作品等を読み解く所から始め、探さなければならない。そうして自分で手探りして進めることで、単なる詩の鑑賞に終わることなく、確実に知識を身に着けられる。苦労するだろうが、大きな達成感は保証しよう。何より、そうして調べて来たものを凌駕する我等が樋口先生の知識に驚くだろう。矛盾しているが、飄々としながら確実に我々を導いてくださる先生である。

日本語学
安田尚道先生(専任)
<3A 木村 文>
ウサギとカメ。北風と太陽。アリとキリギリス。多くの人が一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。すべて『イソップ物語』の中のお話です。
安田先生のゼミでは、この『イソップ物語』がテキストです。その昔、日本語の教科書として使われていたキリシタン版『イソップ物語』を、当時の辞書や『日本国語大辞典』を用いて読み解いていきます。何気なく使っている日本語とはまったく違う、ローマ字表記されている当時の言葉を、ひとつひとつ研究することには、新鮮な発見がたくさん隠れています。
豊富な知識をお持ちの安田先生と一緒に、普段とは一味違う視点から、日本語と向き合ってみて下さい!
近藤泰弘先生(専任)
<3B 岡田 僚太>
近藤ゼミでは、普段私たちが使っている日本語についての研究を行っています。日本語には似たような表現がたくさんありそれを何気なく使い分けていますが、そこにどのような法則が隠されているのかを考えています。例えば、「○わりに×」という表現は良く耳にすると思います。この○と×の部分にはどのような言葉が入るのか、前後の言葉にどんな関連性があるのかといったことを考察するのが今年度のテーマです。先生はとても穏やかな方で常に学生と一緒に考えて下さるので、日本語の理解を深めたい方にはぴったりのゼミだと思います。
<2B 東海林沙貴>
この演習では、各人一人一人が先生から提示された論文のうち興味のある対象をひとつ選んで受け持ちます。
読み解いて自分なりに解析してわかりやすくレジュメにまとめるとともに、自分なりになぜと思った点を疑問点として掘り下げます。そこに先生や学生から質問や改善点などが指摘され、改善した上で、学期末には論文の形にまとめます。もちろん、他の皆さんが発表する論文を聞くのも勉強になります。決して簡単な内容ではありませんが、日本文法に対して自分から積極的に取り組むことのできる充実した演習です。
鈴木美恵子先生
<2D 成毛 直子>
「日本語って難しいな」と感じることはありませんか? 日本人であっても、日本語を母語とする人であっても、時には使い方や言葉の選び方に苦労することはあります。
この授業では、そんな苦労の絶えない日本語のあれこれを、テーマごとに発表形式で解明していきます。いきなり難しい話をするのではなく、基本的な単語の話から、文法、そして時間や空間の捉え方などの感覚的な問題まで幅広く取り扱うので、「文法の話はちょっと…」という人も気楽に参加することができます。
明るく穏やかな雰囲気の楽しい授業です。きっと日本語がもっともっと好きになれること請け合いですよ!

日本語教育
山下喜代先生(専任)
<4B 大森 麻紀>
皆さんは「日本語教育」と聞いてイメージが湧きますか? 山下ゼミでは、日本語教育、つまり日本語を母語としない人に対する日本語指導についての研究を行ないます。
三年次は、まず前期に個人で研究テーマを決め、論文分析、データ収集、そしてレポート作成を行ない、後期には、教材分析と実践を想定したコースデザインの作成にグループで取り組みます。そして四年次には、実際に交換留学生を対象として実習を行ないます。
山下ゼミはとても厳しいですが、日本語教育には幅広い分野があり、知れば知るほど面白い世界です。日本語について新しい発見をしたい人にもお勧めのゼミです。
三原裕子先生
<3A 木村 文>
<3D 高木 愛子>
明るく元気な三原先生のゼミでは、初級日本語の教授法に関する知識を身に付け、実践的な指導力の習得を目指して、学んでいます。
授業では、日本語教育の授業を想定して作成した教案をもとに、クラス内にて模擬授業したり、日本の文化を教える授業の考案などを行ったりします。
三原先生の経験と豊富な知識を生かしたアドバイス、そして実際の日本語教育現場を意識した厳しい指導、また学生同士で自由に発言し合うことにより、お互いを磨き合う環境の中で、ゼミ全体での成長を目指します。
奥深くて面白い日本語教育の世界と、真剣に向き合ってみたい人にお勧めします。