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会報
第43号
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日本文学会春季大会
講演‥川口義一先生(早稲田大学大学院教授)


「日本語教育に挑む
「七人×2=14人の侍」
二〇〇〇年卒業 本学講師 森 幸穂

「日本語教育に挑む「七人×2=14人の侍」という力強いタイトルのもと、日本語教育ではどのような研究が行われているのかについて、早稲田大学大学院日本語教育研究科の川口義一先生がお話くださった。日本語教育では知らない人はいない著名な川口義一先生、笑顔が素敵で、始終にこやかにテンポよくお話くださり、自然と惹きつけられていく魅力的な方だった。川口先生がお話くださる日本語教育研究は、初心者にも分かりやすくユーモアもあり、皆一時間の講演に聞き入っていた。
では、タイトルにある「日本語教育に挑む14人の侍」とはだれなのか。一四人とは、早稲田大学大学院日本語教育研究科の一四人の教授陣=研究室とのこと。日本語教育ではどのような研究が行われているかを知るために、この一四ある研究分野を紹介してくださった。その一四の研究分野は、(1)音声・音韻研究、(2)語彙教育研究、(3)教育文法研究、(4)文章・談話研究、(5)待遇コミュニケーション研究、(6)日中言語文化研究、(7)教材教具研究、(8)日本語教授法研究、(9)学習環境デザイン研究、(10)第二言語習得研究、(11)地域日本語教育研究、(12)年少者日本語教育研究、(13)言語文化教育研究、(14)言語教育政策研究である。例えば、(2)の語彙教育研究では、日本語の語彙の指導法や学習法についての研究をする。類義語の「女、女の人、女性、女子、夫人、レディ」を、中級学習者は使い分けられなければならない。では、いつどの語を使ったらよいのか。(3)では日本語の文法研究や文法指導の研究を行う。例えば「私の趣味は踊ることです」は正しいが、「私の趣味は踊るのです」は間違っている。両文共に「こと」と「の」で名詞化しているのにもかかわらず何が違うのか。(8)の日本語教授法研究では、外国語教授法の批判的応用なども行う。例えば、教師が五十音図の中の一字を黙って指し、学習者が正しい発音で言えるまで待つ、いわゆる学習者に自分で気づかせて学習させるという教授法がある。このような様々な外国語教授法についても考える。(14)の言語教育政策研究では、日本在住の外国人労働者の母語維持と日本語学習について、国家や地域の政策として考えることもする。このように、日本語教育の中には、文法、語彙教育研究のような言語に焦点をあてたものから、教授法や学習環境など教育の面からの研究、また実社会と関わる言語教育政策の研究など様々な研究分野がある。それぞれの研究分野はまだまだ奥深く、常に「日本語を教える」ということを追究し続けている。

本大会で川口先生の講演を拝聴し、日本語教育について知っていた人も知らなかった人も日本語教育について関心が深まったように思う。後日、何人もの学生が川口先生にEメールを送りお話を伺ったこと、川口先生がご紹介くださった日本語教師セミナーに参加したことなどからもそのことが窺える。もちろん、日本語が話せるからといって日本語教師になれるわけではないが、日本語を教えることによって自分が気づかなかった日本や日本語を学び、学習者が他の人と日本語でコミュニケーションをとる手助けをする日本語教師はすばらしい仕事なのではないかと思う。

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