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会報
第41号
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在校生のメッセージ

高等遊民/モラトリアム人間
M1 小竹 希弥

「高等遊民になりたいのですか。」

  高等遊民とは様々な解釈がありますが、大雑把に言うと、高い教育を受けたにも関わらず時世への慷慨の念などから定職につかずブラブラしている人の事です。冒頭の言葉は大学院入試での面接時、卒論で漱石作品に於ける高等遊民について考察した私に向けられたものでした。しかし、何の知識も志もないままに大学院入試に臨んだ私は高等遊民などというのもおこがましい、単なるモラトリアム人間でそれだけにこの耳に痛い質問が未だに鮮明な記憶として残っているのだと思います。

  勿論、大学院ではこうした高等遊民が求められているのでもなければモラトリアム人間が求められている訳でもありません。

  ただ、だからと言って明確にこうあるべきだといったものはなく、自身の研究姿勢の有り方も含めて検討し学んでいくのが人文科学系の学問なのではないかと思います。

  例えば院での授業は演習形式のものが主で毎回多様な見地からの発表が行われ、先生方や院生同士での質疑応答・議論を繰り返して考察を深めていきます。そこでは絶えず自身の思考が揺り動かされ、深遠な文学の淵源に触れたような気になれる事もあれば、思いもかけない方向に転がり、行き先を見失って途方に暮れる事もあります。大学院ではその揺れの中にじっくりと身を浸しつつ、修士論文に活かせるような核となるものを自身の中に定めていかなければなりません。こうしたプロセスに耐え、且つそれを楽しむ事の出来る謙虚でタフな心を持つ事―これは、曖昧な動機で文学研究に足を踏み入れた私にとっての大きな課題です。

  既にそうした心を備えた人もそうでない人も、もし大学院進学に興味があれば先生方やTAに気軽に声をかけ、相談してみることをお勧めします。

忘れられない四年間
4B 金 守英

日文での四年間は、私の人生にとって一番大変だったけれども、最も楽しく過ごせた時間だったと思います。日本語が好きになり、日本語を話せるようになりたいと思ってやってきた日本での生活は、予想以上につらいものでした。特に自分が言いたいことをうまく表現できず、ぐずぐずしている自分の姿を見るたびにそう思いました。しかし、次第に日本語が話せるようになり、一年後くらいには文学作品も読めるようになって、日本語と日本文学との両方を学ぶことができたのは幸せなことでした。学校に行くのが楽しく、たくさんの充実した授業が受けられる青学に入ってよかったと思いました。

  日文では二年から必修としてゼミに入ることになっていますが、人の前で話すのが苦手な私にとって、発表することがほとんどであるゼミの授業は、初めのうちは負担でした。しかし、ゼミの先生や友だちからいろいろ助けてもらっているうちに自信がつきました。ゼミ以外の授業でも、ただ聞くだけではなく、積極的に参加する授業が多かったので、大変でしたが、やりがいもあって、より深く問題を考えることができたと思います。

  三年生になって、青山キャンパスに通うようになってから、誰もいない礼拝堂に入って腰をかけることがありました。私はクリスチャンではありませんが、静かで落ち着ける雰囲気が好きだったのです。また、キャンパスのベンチに座っていると、何匹もの猫を見かけることがありましたが、それも小さな楽しみのひとつでした。先生たちの優しさと楽しい授業、たくさんの仲間に囲まれた青学での四年間は、私にとって忘れられない大切な時間だったと思います。ありがとうございました。

私の就職活動記
4C 吉田 明澄

私の就職活動は人よりも長いものでした。「接客がしたい。」というだけで就職先を喫茶店・ホテル業界に絞り込んでしまったのです。その結果、内々定を頂いても「本当にこの仕事でいいのか。」という不安が残りました。結局内々定を辞退し、持ち駒をなくした状態で6月に就職活動を再開しました。

  しかしここで初めて本当のスタートが切れたと思います。「思い込み」だけでなく、客観的に幅広く業界を見つめ、最終的に銀行に就職を決め、ここでようやく自信を持って就職活動を終えることができました。私が皆さんにアドバイスできることはSPIやES等のことではなく、「幅広い視点を持つこと」です。自分のやりたいことがはっきり決まっている人には縁のない話ですが、逆に就職活動という期間を十分に利用し「色々な企業を見てやろう。」という気持ちを持ってほしいと思います。その中で自分が「できること」を見つけ、そこには妥協せず進んでいけば自然と就職先は見つかるものだと思います。焦らずゆっくり頑張ってください。

教育実習記
4C 大西 亜紀

一年前から教育実習が心配で仕方なかった。一対五十の高校生とどう関わっていけばいいのかという不安。また「教える」ということの難しさを、塾講師のアルバイトで実感していたためでもあった。

  しかし一方で、自分が高校時代から夢みていた「国語への熱意に応えられる授業をしたい」という強い気持ちがあった。それは、大好きな母校の生徒に「国語なんて勉強しなくてもいい」と決して思わせない授業をしよう、という野心でもあった。

  実習では三年生の担当となり、二クラスに現代文を教えた。指導教官は大変親身に相談に乗ってくれ、わたしの意思を常に尊重してくれた。そんな教官に教わる生徒たちもとても暖かく、最初の授業で一気に不安がほぐれたのを覚えている。

  文章を味わい考える楽しさを重視したかったので規定の教科書を使わず、よしもとばななの『みどりのゆび』を教材に使用した。教官は、テキスト作りから読みの方向など全てを任せてくれた。そんな寛大な指導に感謝するばかりであったが、その分自己満足や支離滅裂な授業ではなく、丁寧な教材研究をすることでしっかりした考えを導くことを教えられた。そして同時に、生徒と共に考える時間を大切にするよう努めた。

  その思い入れがよかったのだと思う。最終授業のアンケートでは、授業の核心をついた感想や、参考になる意見をもらうことができた。いつの板書がよかった、とか、もっと考える時間がほしかった・発問がわかり辛かった、など、熱心に授業に参加してもらえたことが大変嬉しかった。心のこもったお別れ会もしてくれて、壁を作らず関わってくれた生徒たちに感謝で一杯になった。

  実習では、各先生方の授業を思う存分見学できたことや、行事での教師の役割、学活での教師の立場など、教師に必要な力を体感して学ぶことが非常に多かった。

  体当りの挑戦ではあったが、実り多い経験ができた。お世話になった先生方や生徒たちに少しでも感謝の気持ちを伝えたいと思う。

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