卒業生だより
「日文ドラゴン桜」
新島 剛
就職活動していたのは十年近く前ですが、多少でもお役に立てれば幸いです。日文だけにどんな読書をしてきたかを面接で聞かれることは多かったです。日常的に読書をしていますが、三年生の夏から秋にかけては文学、ビジネス書、雑誌などジャンルを問わず百冊以上読みまくりました。気に入ったフレーズ、読後の感想を書き溜めておくとエントリーシートを書くのにも役立つし、大人としての財産にもなります。本当に希望している会社なら、その業界を専門に扱った本の数冊はよんでおくべきです。話す、文章を読む、書く機会が多い就職活動というのは、文学部の人間にとってチャンスだと思います。学生生活でどれだけ人と話し、読書、新聞その他メディアに接し、それに対する自分の考え方を積み上げていくかだと思います。かくいう自分の日文時代の学業成績は惨憺たるものでしたが、厚木(当時)までの通学、ゼミ、スポーツ、友達とのダベリ、バイト、旅行、失恋も含め、四年間充実した時間を過ごしました。生き様に自信を持って力を発揮してください。本当の勝負は就職した後ですから。
(日刊スポーツ新聞社)
書店員という職業を選んで
青木 玲子
本に触れる仕事がしたいというだけで書店の入社試験を受け、打たれ強そうだからという理由で採用されてから四年たちます。
最初に思い知ったのは、自分が売り場に立つには知識不足だということでした。本に関する知識は書店員の仕事の土台ですが、会社は知識がつくまで待ってくれません。すぐに担当を持ち、発注数を決めるようになり、失敗を繰り返しながら作家のことも本のことも、以前よりわかるようになりました。
本を売るのは面白いもので、工夫次第で売れ方が全く変わってきます。十九世紀イギリスを舞台にしたコミックを売るために、店員が当時の使用人の格好をしたときは、コミックが飛ぶように売れました。
もちろん面白いことばかりではなくて、大変なことや割に合わないこともたくさんあります。「こんなに本が売れない時代に書店員になるなんてバカだ」と言われたこともあります。でも、結局私は書店が好きで、本を売るのが好きなのです。職業を選ぶ基準は人それぞれでしょうけど、みなさんもどうか、後悔しない選択をしてください。
後輩たちへのメッセージ
浅沼 愛九
ふとしたことで訪れた母校の総研ビルの十階、日本文学科合同研究室の前で呼び止められた。振り返ると恩師の片山先生から「会報に一筆、頼むよ」とのことで不祥ながら四五〇字がんばってみようと思います。
簡単に私の経歴をまとめますと、二〇〇二年度に日本文学科を卒業して一年間科目等履修生として通い、司書資格を取得した後、慶応義塾大学の図書館・情報学という分野の大学院に進学しました。今年の四月からは獨協医科大学の医学図書館に就職しました。
日本文学科を卒業して早三年、思い出すことといえばこの会報を作る編集委員にいわゆる青春を費やしたことです。先輩・同級生そして先生に恵まれて先輩のインタビューに同行させていただいたり、随筆を書いてみたり、会報用の写真を撮っていました。
後輩に当たる方々へのメッセージとしては、一つの作品について狭く深く思いをめぐらせて、その後で広い視点で捉えなおしていくことが大切だということです。積極的に授業やゼミに出て豊かな「文学の森林浴」をしてもらいたいと思います。