二〇〇三年度 開講演習紹介
上代
小川 靖彦先生
<3B 青木 あずみ>
小川ゼミでは『万葉集』巻三雑歌を学んでいます。前期は書誌学・歴史などの文献を幅広く読み、後期に万葉集本編へ入るための土台を作っていきました。万葉集ゼミというと歌の解釈中心といったイメージですが、小川ゼミでは歴史的見地からも歌を研究していくので、今までの『万葉集』の印象が一変するかもしれません。
今年度は8人でほのぼの授業を進めています。しかし、楽しいだけではなく先生が一人一人の意見に対して丁寧にコメントしてくださるのでやりがいも十分味わえますよ! また夏休みを利用して『万葉集』の原型である巻子本の制作も行います。世界に1つの巻物作りを夏の思い出にしませんか
(2年)
<2B 杉山 和也>
この授業では、『萬葉集』の最古の写本たる「桂本」のコピーを各自巻子本状に仕立て、これをテキストとし、書及び料紙の鑑賞、翻字、本文比較、歌の解釈、鑑賞等を行ってゆきます。巻子本状にすることによって、冊子本では先ず得られることのない観点が得られます。また、「変体仮名」の翻字は古典研究を行うにあたって必要不可欠な能力の一つなので、その錬成にも最適の場と言えるでしょう。
決して楽とは言えませんが、その分着実に実力を養うことの出来る授業です。意欲のある方、未知の分野に思い切って挑戦してみようという方は是非どうぞ。小川先生が情熱を以てそれに応えてくださるでしょう。
矢嶋 泉先生
<3B 遠田 和寛>
今年度は『古事記』中巻を読んでいます。発表は、まず二、三人でグループを作り予備的調査や議論を重ね、その成果に基づきレジュメを作成します。授業では、それをもとに更に議論を重ね、多様な読みの可能性を探ってゆきます。『古事記』というと古代的な神話や物語というイメージがありますが、実際に読み進めてゆくとそのようなイメージはことごとく覆され、強固で緻密な論理性に貫かれた、手強い作品であることに気づかされます。「論理に破綻がない限り、反則の解読というものはない」と明言される先生のもとで行なわれる議論は完全に自由で、考えることのおもしろさを教えてくれるゼミです。
石田 千尋先生
<3D 山本 麻理子>
私たち石田ゼミでは、「前期万葉の歌」と題して、『万葉集』を毎回2、3首ずつ読んでいます。前期万葉の歌は声で歌われたものをふまえているため、その歌の持つ特殊な状況(エピソード)や韻律(リズム)をヒントに、全員で意見を交わしながらオリジナルの解釈をしていきます。石田先生はとても穏やかな方で、私たちの意見を取り入れつつ歌の解釈のポイントへと導いてくださるため、発言が多く活気のあるゼミです。また、毎回担当者がレジュメを作り、それに基づいて授業が進められるのですが、担当者の思いもしなかった方向へ解釈が展開することもあり、発見の多い授業となっています。
中古
土方 洋一先生
<3B 竹内 宙明>
土方ゼミでは『源氏物語』宇治十帖の橋姫巻を学んでいます。発表は二人一組で、割り当てられた箇所の本文について様々な注釈書や辞典類を調べ、問題提起をし、それに対して、皆で意見を出し合います。「この場面で御簾はどのくらい上がっているの?」といった些細なことまで議論の対象となるのが土方ゼミの面白いところです。先生も親しみやすく、一緒に議論に参加してくださいます。また、ゼミ生の数が多いので様々な観点からの面白い見解が聞け、一つの問題に対して広い視野を持って自由に考えられます。皆さんも土方ゼミの自由な雰囲気の中で一緒に問題を解決してゆく愉しさを味わってみませんか?
(2年)
<2C 榎本 真理><2C 白水 舞子>
この演習のテーマは平安時代の短篇集である『堤中納言物語』です。この作品は虫が大好きなお姫様や、観音様と間違えられる少将など、ユニークな人物が登場する一風変わった作品です。授業は二十人程度の学生達の議論で作り上げられ、みんなの顔が見えるよう机を円形に並べ、担当者が作ってきたレジュメを基に疑問点を出し合い、それを全員で考察します。あくまで学生中心の授業なので、先生は議論の行方を暖かく見守りつつ、時々物語の解釈のヒントを与えてくれます。この演習は作品について深く掘り下げ考察し、自分の意見を持って、それを議論することが好きな人にお薦めです。
高田 祐彦先生
<3C 福山美由紀><3B 山幡 真歩>
私たちは『古今和歌集』の四季の歌を読んでいます。学生数は十三人ほどなのでアットホームな雰囲気ですが、見解は様々で議論は活発です。先生もとても親しみやすい方です。授業内容は諸注釈書の比較検討が中心です。前期は二人で一首、後期は一人で一首を担当し発表します。時には注釈書自体が矛盾していることもあり、それを発見することはとても興味深いです。
また、たった一首の歌でも古今集中の配列、詠まれた時期、詠み手の作風、中国との関係、万葉集等の他の歌集との繋がりなど、様々な視点から詠むことが出来、改めて和歌の奥深さを感じます。
今井 久代先生
<3C 竹内 碧>
今井ゼミでは、『狭衣物語』、特に巻一、二に登場する飛鳥井姫君に関わる部分を中心に研究・発表を行っています。発表者は指定された箇所の注釈、諸本異同の比較、他作品からの引用、その他自分の問題意識に沿って自由に考察し、そのレジュメをもとに、皆で意見を交わします。分からない部分、足りない部分には先生が丁寧な解説や助言を加えて下さいます。『狭衣物語』は、『源氏物語』の影響が強く、また、他作品からの引用や引歌表現が多く見られる作品です。そのため、『源氏物語』を中心に上代〜中古の物語や和歌に幅広く触れることができ、今まで知らなかった興味深い作品に出会うきっかけにもなることが魅力です。
中世
佐伯 眞一先生
<3C 須賀 文子>
佐伯ゼミでは『平家物語』を扱っています。『平家物語』というと、合戦をおもに想像してしまいますが、実際に作品に触れてみると、その中に「恋愛」や「笑い」などの要素もたくさん織り込まれていることがわかります。私たちは好きな章段やテーマをとり上げ、自分なりのアプローチで研究を進め、発表します。発表は、緊張感がありながらも和やかな雰囲気で進行します。
発表の準備はとても大変で根気のいる作業です。けれども、ぜひ佐伯先生の丁寧であたたかいご指導のもと、皆さんも充実した時間を過ごしてみてください。
廣木 一人先生
<3D 荒木 夏奈>
“春宵一刻、値千金、花に清香、月に陰”、これは謡曲「田村」の一節です。廣木ゼミでは主に能の作品を研究対象とし、個人発表を通じてその内容や背景を辿ります。能について殆ど知識のない方でも大丈夫。先生の指導の下、ゼミ生皆で基本から丁寧に学べます。長い時を経てなお残る“文化”と“感覚”の結晶。それを伝えようとする“言葉”。能作品に触れるのはとても新鮮で、けれどどこか懐かしく、日本文学を学ぶ上で、欠かせない感覚を知ることが出来るでしょう。先生のコネ割引による能鑑賞会や、先生の案内付京都名(迷)所ゼミ旅行など、廣木ゼミ独自の課外活動も沢山。楽しんで学びたい方、是非廣木ゼミへ!
浅田 徹先生
<3A 川村 菜月>
このゼミでは「新古今時代の和歌を読む」をテーマとし、特に題詠について詳しく学んでいます。具体的には、花・月・恋の題を扱った『仙洞句題五十首』から一人一題三首を担当し、前・後期一回ずつ発表します。歌人達は持てる技能を総動員して歌を練り上げているので、読み解くのはなかなか困難です。でも、最初の数回の授業で基本的な知識や考え方などの説明があるほか、発表の前週には個別の指導があるので大丈夫。和歌についての見識が無くても安心です。また、発表後に先生の解説があるので、自分の発表で足りなかった所や気付かなかった解釈を知ることが出来ます。和歌に興味がある方にお勧めのゼミです。
(2年)
清水 眞澄先生
<2C 中林 智人>
このゼミは後白河院によって編纂された『梁塵秘抄』に集められた歌謡をグループもしくは個人で研究して発表します。日文研究室の中の膨大な資料と格闘しつつ基本にのっとりレジュメを作り、ドキドキしながら発表します。発表して皆から出た質問や意見を再度調査してフォローし発表をします。『梁塵秘抄』の歌謡は今様という流行歌から成り、一つ一つの歌は二三十字程度なのですが、つきつめて研究すると十枚近い量になったりして自分でもびっくりします。決して楽ではありませんが「日文で研究をしている」という強い充実感と満足感が得られること間違い無しです。やる気のある人はぜひとってみてはいかが?
近世
武藤 元昭先生
<3D 黒田 真貴子>
今年度の武藤ゼミでは、江戸後期の作品『人まね道成寺』を扱っています。
発表は二人一組で行います。語釈の前にまず、変体仮名を読むのですが、読めなくとも先生の研究室に行けば優しい先輩方が丁寧に指導して下さいます。
戯作なので様々な作品、登場人物が入り込んでいますが、それらの大元を辿ることもこのゼミのおもしろさの一つでしょう。
発表だけではなく、先生が折に触れて話してくださる話も、歌舞伎から体験談と様々で、大変興味深く思います。
春と秋には文学散歩もあり、江戸の文化を堪能することができるゼミです。
篠原 進先生
<3B 平野 由佳>
篠原ゼミでは西鶴の『好色五人女』巻一「姿姫路清十郎物語」を読んでいます。参加者がそれぞれ自分の担当する場面の本文に沿い、注釈をつけ、また、その場面の中で印象に残った言葉や出来事について調べ、発表していきます。そのため、内容だけでなく、江戸の文化慣習なども西鶴の世界を通して知ることができます。
発表の後も、質問が活発にあり、篠原先生の冗談や毒舌も飛びだし終始楽しい雰囲気です。
また、青山という恵まれた環境を生かし、演劇鑑賞に行ったりなど、机上の勉強だけでなく実際に江戸の文化を感じることができるゼミです。
黒石 陽子先生
<3A 小俣 荘子>
黒石ゼミでは近松門左衛門の『曽根崎心中・冥途の飛脚』を研究しています。一つの作品を少しずつ区切って研究、発表していきます。一シーンを一区切りとするので、その場面でのムードや、情景、それに付随した心理描写などから気付いたこと、近松の意図、何が観客の心を捉えるのかを考察していきます。
一回の授業で一人が発表するので、じっくりと考えていくことが出来ます。また、発表後に質問や意見交換をするので、そこで新しい発見をしたり、当時の観客の気持ちを想像して作品の魅力、人気の理由を推測したりと、とても興味深いです。
(2年)
鹿倉 秀典先生
<2C 鵜飼 香奈子>
私達、鹿倉先生のゼミでは江戸音曲と芝居と戯作について学んでいます。授業の中心は、江戸時代における「音曲」についてです。
先生は初回の授業ではザ・ピーナッツの歌を導入とするなど親しみやすく楽しい方で、歌舞伎や浄瑠璃等、全然日頃触れたことのない私でも、映像や音声で進められる授業はとても興味深く、三味線にもいくつかの種類があることや、歌の合間に入れられるかけ声のような役割についても知ることが出来ました。前期は主に先生のお話を聞いたり、またビデオを見たりし、前期学んだことをもとに後期は学生各々がそれぞれテーマを決め、それについて発表します。
近代
片山 宏行先生
<3D 岡本 知之>
今年の片山ゼミは、前期は芥川龍之介の作品の中から、後期は各自が自由に作品やテーマを決めて、それぞれ30分くらいで発表&討論という形式をとっています。討論の時間には、先生をはじめゼミ仲間から一斉につっこまれます。それ故に準備をしっかりやらないと嫌な汗をかきます。とはいうものの、片山先生のもつ独特の雰囲気のせいでしょうか、どこか居心地がよいものです。他のゼミ生が取り上げる作品が、自分の知らない作品や作家の時には、自分の内的世界も広がってゆきます。
(2年)
<2D 吉田 大介>
通年で各人がそれぞれ一回、研究発表を行います。発表の題材は文学に限らず、近現代における様々な表現物、主に「読む」もしくは「観る」という行為によって理解されるものを自由に選ぶことができます。
そして、発表に対して、それぞれが意見や感想を書いて提出します。それらは先生を介して発表者の元に届けられるので、発表者は、自分の考えを他人がどのように受け止めたのかを知ることができます。研究だけではなく、人生においても役に立つゼミです。
日置 俊次先生
<4B 小川 美沙登>
「作品から人が見えてくる」
このゼミでは、自作の短歌をお互いに批評し合います。フィクションでも作品には作者の心情が映し出されるので、作者自身がどんな人であるのか、はっきり見えてくるのがおもしろいですね。いろいろな視点で見たもの、感じたものを短い言葉で表現するのは、難しくもあり楽しくもあります。
「気持ちを自由に表現しよう」
短歌は決まったリズムに言葉を乗せますが、その型にこだわらず、自由に表現することもできます。型にはまることなく、自分の気持ちを素直に表現することが大切だと思います。一番感受性の強い時期に得た表現は、きっと私たち自身の栄養素になるでしょう。
佐藤 泉先生
<3D 大久保 英男>
佐藤泉先生のゼミでは、近代文学史の上で巻き起こったあらゆる文学論争について、当時の社会的背景や作家たち自身の傾向や思想などから読み解いてゆき、それを討論会の形式でさらに深めてゆきます。
一つの文学作品や作家を研究することに比べ、文学論争についての論議はより客観的かつ社会的な視点を有することが重要なので、これまでの文学研究とはまた一味違った面白味があるわけです。が、本当に面白いのは泉先生の謎に包まれた素性かも知れません。花のように微笑みながら口先では毒を吐く、その素顔はと言えば、それは文学の迷宮よりさらに追跡の困難な、深い神秘の森なのです。
山口 政幸先生
<3C 寺田 容子>
前期は谷崎潤一郎の半自伝的小説である『異端者の悲しみ』、『鬼の面』、『神童』を主として勉強してきました。このゼミでは一人ずつ毎回何人かが与えられたテーマに沿って発表していきます。テーマは流動的で谷崎以外のさまざまな作家や評論家についても学ぶことができます。
発表のスピードが早く多くの人の考えを聞くことができます。はっとさせられるような意見が聞けることもあり、とても参考になります。
谷崎について、また谷崎を取り巻く時代に興味がある人には新しい発見があると思うので、おすすめします。
吉田 昌志先生
<3B 飯沼 美穂子>
前期は、「小説」について極める授業をします。小説とは何か、小説の定義などを、わかりやすく、面白く学ぶことができます。また、正しいレポートの書き方を講義形式で丁寧に教えていただけるので、卒論の参考にもすることができます。後期は泉鏡花、樋口一葉、谷崎潤一郎、志賀直哉、三島由紀夫、大江健三郎など、近現代作家の短編集から自分の好きなものを選び、グループにわかれて発表をします。吉田先生のゼミは基本的なことから始めるので、自分のためになると思います。吉田先生は素敵で、気さくで、楽しい先生です。青学出身という大先輩なので何でも質問しましょう。吉田先生と一緒に小説の世界に浸ってみませんか。
(2年)
吉村 りゑ先生
<2B 一戸 裕司>
今年の吉村ゼミは「男性の眼・女性の眼」と題して、樋口一葉と国木田独歩の作品を扱っています。
一葉も独歩も明治期の優れた短編作家ですが、女性・男性と性が違い、当然その時代、社会で置かれた立場も違ったわけです。作品のなかには、そのような女性・男性ならではの体験や捉え方が反映されています。美しい文語体の文章を読み解きながら、以上のような視点から作品を考えていくというのがこのゼミの概要です。
授業は発表形式です。作品を章ごとに区切って分担を決め、各自がレジュメを作成し、発表します。
『にごりえ』や『武蔵野』を読んだことがある人、一葉や独歩が好きな人も、またそうでない人もこの演習を通して作品や作家に対する見方が深まり、文学に対する新しい発見があるはずだと思います。
漢文学
大上 正美先生
<3B 田村 幸美><3C 坂巻 温子>
大上先生は、一見近づきにくい雰囲気を持っていますが、一度授業を受けてみるととても気さくで話しやすい先生であることがよくわかります。研究室に質問に行くと、快く丁寧に説明してくださり、更に多種多様な中国茶を先生自ら入れてくださいます。
また先生は映画がとても好きで、中国映画だけでなくいろいろと勧めてくれ、時には先生がお持ちのビデオを貸してくださったりもします。
今年度前期は、盛唐・孟浩然の五言絶句を、二人で一首担当して発表しました。後期は、それぞれのゼミ生が関心のある中国文学(日本文学で中国に関わるものも含みます)におけるテーマ、文学者、作品、言葉などについて、発表します。
(2年)
<2C 松尾 晶子><2C 雑賀 絵里子>
「漢文なんてつまらないよね」大上先生は漢文学がご専門であるにも拘わらず、度々このような発言が飛び出す。ではなぜ漢文を研究してきたのだろうという疑問が私達には当然出てくるのだが、つまらないと言いながらとても楽しそうに話をする先生の姿を目にして、ますます先生と漢文に魅了されてしまう。“漢文”と聞くと「難しい・とっつきにくい」というイメージが強い人達が多いのかもしれないが、決してそうではない。この演習では「大上マジック」によって漢文は分かり易く、面白いものへと変化してしまう。先生の魅力もさることながら、漢文の魅力は現代を生きる私達には考えもつかない思想が出てくるところだ。それは私達の人生の糧となり、実りある学生生活を送るため、役立つのではないかと思う。少々誉めすぎたかもしれないが、それほど他の分野とはまた違った漢文のよさを実感できる、そんな有意義な時間を与えてくれるこの授業である。
神鷹 徳治先生
<3B 松下 朋子>
皆さんは漢文に対してどのようなイメージをお持ちですか?漢字ばかりで読みにくい、内容が難しい等と思うのではないでしょうか。神鷹先生のゼミではそのような心配は一切不要です。なぜなら先生は漢文の読み方を一から教えて下さるだけでなく、内容についても詳しくお話して下さるからです。
今年は『長恨歌』を読んでいます。その中で先生は時に哲学的な、時に私達の身近なことを話されるので、自然と先生の世界に引き込まれてしまいます。そして、真剣な眼差しの中に見せられる温かい笑顔も魅力です。
大切なのは漢文を楽しむ心。さあ、神鷹先生と一緒に漢字の裏に広がる世界を覗いてみませんか?
(2年)
加固 理一郎先生
<2C 小西 春菜>
加固ゼミは学生が二人しかいないこともあって、非常に肩肘張らないものです。学生が好きな詩を自ら選び、自ら調べ考察し、そして会話のごとく考えを語り、意見を交換しあう…学問の理想が確かに存在します。中国読みもして下さるので漢詩本来の音楽性も味わえ、時に詩史から日本のアニメや特撮の行く末も語りました。ただ文法や訓読、現代語訳をするだけという高校生レベルの単調なものではありません。つまらない試験もレポートも一切無し、その代わり確かな知識と既成観念を打破する己のセンスと閃きが高度に要求される「天才派」のための理想のゼミ、それが加固ゼミです。
稀代麻也子先生
<3B 田村 幸美><3C 坂巻 温子>
授業で現在私達は『文選』の和刻本を勉強しており、稀代先生は白文の読み方を基礎から丁寧に教えてくださいます。私達の質問にも親身に且つ具体的に答えて下さり、私達と世代が近いこともあってとても話し易く、また親しみ易い先生です。
また先生は、漢文を勉強する上で役に立つホームページや辞書なども多数紹介してくださり、基礎的なことから専門的なことまで幅広く勉強することができるようになります。
稀代先生は、やる気がある学生に本当に丁寧に応えてくれる先生です。
日本語学
安田 尚道先生
<3A 田口 加奈>
安田先生のゼミでは『天草本伊曽保物語』を読んでいます。この文献はキリシタン式ローマ字で書かれているため、一見「日本語学にどう結び付くのだろう」と戸惑いを感じるかもしれません。しかしローマ字で記されているからこそ、中世の日本語の発音を知ることが出来るのです。授業は私達の発表と先生の解説を中心に進みます。発表に向けては『邦訳日葡辞書』などの様々な辞書に当たって、語句の意味や全体の現代語訳を考えます。先生は一人一人の発表に対し、丁寧な指導をして下さいます。前期には日本有数の古書店街、神田神保町を案内していただけます。あなたもこのゼミで、日本語を深く学んでみませんか。
(2年)
<2B 宮内 麻衣>
安田先生のゼミでは、変体仮名の解読を行います。扱う作品は、伊勢物語や古今和歌集など多岐にわたります。
授業はまず、自分で実際に変体仮名を書いて覚え、その後作品にあたっていきます。筆者によって変体仮名に大きな差があり、なかなか思うように読めませんが、自分で辞典をひいて調べたり、先生に質問したり、とマイペースで進めてゆくことができます。先生は決して答えを教えてくれませんが、絶妙なヒントを下さいます。
変体仮名をマスターしたい方、変体仮名で古典作品を読んでみたい方、一度安田ゼミをのぞいてみて下さい。
近藤 泰弘先生
<3C 佐々木 薫>
私たちは言葉の「文法化」(自立語が付属語に変化する過程)について学んでいます。パソコンにお詳しい先生らしくPC室での授業です。最初の数回は先生の講義で、その後は各々パワーポイントを使っての発表です。例えば「ところ」「わけだ」「はずだ」など、各自が好きな言葉を選び、調査・考察をします。大きな辞書を引くことから始まり、文法書にも目を通し、Web上でもリアルな用例の検索をします。昔はなかった用法や意味が生まれていたり、逆に無くなったりしており、日本語が時代とともに変化していることがわかります。教科書の理論の枠に留まらず、生きた日本語と接することができる興味深い演習です。
(2年)
<2B 金 守英>
近藤先生のゼミの一番の魅力的な所といえば、パソコンを使って授業を行うところです。でも、パソコンが全然できなくても大丈夫です。基礎からゆっくり一人ひとり理解できるまで教えてくださいます。
授業では、各自で好きな単語や文章等を選び、それに関する研究をホームページを開いて発表します。たとえば、「日本の国名は“ニホン”か“ニッポン”か」「キモイはなぜ気持ちいいではなく、気持ち悪いなのか」のようなすぐ答えられない問題をより深く考えることができます。また、誤りが多い日本語や乱れた日本語などを考えながら日本語の世界にひたることが出来るゼミだと思います。
屋名池 誠先生
<3A 李 成旻>
このゼミは、日本語の文字の由来や成立、そして特徴等を詳しく、また分かりやすい説明を基に学んでいくゼミである。中でも特に、何故日本語には漢字、平仮名、片仮名という三種の文字が存在するのか、そしてその背景にはどのような必然性があるのかに焦点を当てる。その他、現在は使われていないが、昔は用いられた日本語の発音や、逆に昔には存在しなかった発音等についても、文字とのかかわりを通して学んでいく。成績評価は出席状況と、前期、後期にそれぞれ一回ずつ行う発表に対してなされる。日本人でありながら、疎かに扱いやすい自分達の言語をもう一度振り返ることのできるきっかけとなる授業である。
日本語教育
山下 喜代先生
<3B 内嶋 知江子>
山下ゼミは、前期は論文を読み、調査の仕方やレポートの書き方について学ぶことから始まります。その後、日本語教育に関するテーマを各自が設定し研究に移ります。中間報告で発表者の調査の方法や分析について全員で意見を出し合い、学び合い、それを踏まえて夏休み中は各々アンケートなどのフィールドワークを行い、レポートを作成します。後期は、「短期集中日本語クラス」の開設を想定し、グループに分かれてコースデザインや教材について研究をおこないます。山下ゼミは、日本語に対する飽くなき探求者達の集まりです。そのため、雰囲気自体がヤル気と刺激に溢れています。刺激的な学習をされたい方にお勧めします。
酒井 和子先生
<3A 増渕 彩実>
前期は教科書分析を行ない、それを踏まえて後期に自分達で日本語の教科書を作る、というのが酒井ゼミの主な授業内容です。
教科書分析は、文型・文法・語彙抽出が基本ですが、現在でも使われる表現か、どうして不自然に聞こえる談話なのか、などを「みんなで考え、話し合うこと」を最も大切にしています。また、みんなで先生が実際に教えていらっしゃる日本語の授業に参加して、教育の現場を知り、日本語を学んでいる生(なま)の生徒と交流する機会もあります。
日本語を教えることにより興味が沸いて、更に自分達の母国語に毎日違った発見ができる、このゼミはそんな楽しい授業です。