青山学院大学文学部 日本文学科   HOME    大学TOP    文学部    お問い合わせ  
高校生のみなさんへ
日本文学科教員からのメッセージ
文学部のパンフレットがダウンロードできます。詳しくは文学部ホームページからどうぞ。(PDFファイル・6.8MB。別窓で開きます)
日本文学科へのリンクはご自由にどうぞ。
HOME > 会報 > 第39号
会報
第39号
会報TOP |  1 |  2 |  3 |  4 |  5 |  6 |  7

相模原キャンパスについての日本文学科アンケート

 相模原キャンパス開学2年目ということで、1・2年生にアンケートを行いました。
「施設・設備について」「学科カリキュラムについて」「学科以外のカリキュラムについて」の3項目につき、(満足)・(良い)・(普通)・(不満)・(最悪)の5段階で評価し、併せて具体的なコメントを記入してもらいました。以下にそれぞれの評価と、回答の多かった意見をまとめました。

キャンパスの施設・設備

<1年(108人)>
・26人  ・66人  ・11人  ・5人  ・0人

良い点の具体例  ・新しくきれい 69人
・最新の設備 11人
・キャンパスが広い 9人
・緑が多い 7人

悪い点の具体例  ・カフェテリアが混む 31人
・エスカレーターが3階までしかない 25人
・キャンパスが広く、移動が大変17人
・図書館の蔵書が少ない 10人


<2年(102人)>
・22人  ・50人  ・18人  ・10人  ・2人

良い点  ・新しくきれい 83人
・最新の設備 17人
・キャンパスが広い 8人
 
悪い点  ・カフェテリアが混む 47人
・エスカレーターが3階までしかない 36人
・冷暖房の調節 14人
・スチューデント・センターの対応が悪い 10人
・コピー機が少ない 9人


施設設備面については、最新の設備が充実したきれいなキャンパスということで、ほとんどの人が「満足」か「良い」という評価でした。しかし、問題点としてカフェテリアの混雑、図書館の資料の不足などが多く挙げられています。
相模原のカフェテリアは、青山キャンパスや前の厚木キャンパスの学食と比べても小さく、混雑します。その代わり、比較的コンビニや売店などが充実していますが、昼に学食が利用できないというのは、多くの人が感じているようにやはり不便です。
図書館の蔵書の不足や資料の配置の問題は、先生方からも不満の声があり、早く改善していくべきことだと思います。しかし図書館の書架に開架式に並んでいる本は蔵書の一部であって、大部分は地下の書庫に所蔵されています。そのため資料を探すときは、パソコンのOPACで検索することが第一です。青山や短大の図書館はもちろん、他大学からも取り寄せができるので、資料が見あたらないからといって諦めないことがまず大切です。

学科カリキュラムについて

<1年>
・2人  ・32人  ・55人  ・17人  ・0人  未記入・2人

良い点  ・一年から専門的なことが学べる 7人

悪い点  ・必修が多く、選択できる授業の自由がきかない 8人


<2年>
・5人  ・43人  ・41人  ・12人  ・1人

良い点  ・興味ある事を追求できる 14人
・幅広い知識を得ることができる 13人
・先生が個性的で魅力的 8人
・文学の新しい視点が得られる 5人
・必修が少なく、自由に時間割を組むことができる 5人
 
悪い点  ・演習の内容が先生によりまったく違い、差がつく 20人
・一方通行な授業が多い 13人
・古典にあまり触れることができない 6人
・文芸創作の授業があるといい 5人


 学科科目に対して良い点として共通に挙げられていたのは、幅広い分野の先生がいること、そして自分の興味ある分野を追求できるということでした。
 問題点として1年生が挙げていたのは、必修が多くて授業の選択の幅が狭いということです。1年生は学科科目以外にも必修が多く、どの授業でも、同じクラスの同じようなメンバーがそろってしまうということがあります。しかし2年になると、必修は文学史と演習と英語講読だけ(他に選択必修はありますが)になり、あとは自由に選択ができるようになります。
 2年生に不満な点という回答が多かったのは、演習の内容が先生によってまったく違うということでした。2年の演習での資料の調べ方や発表の仕方などの基本が、3・4年での授業に結びついていくので、確かに基本的なことをしっかりと教えてもらいたいと思います。しかし、演習の内容がそれぞれ違うというのは、そもそも当然のことでもあります。この「会報」やシラバスを参考にして、自分にあった内容の演習を見極めることが大切です。

学科以外のカリキュラム

<1年>
・1人  ・20人  ・47人  ・33人  ・4人  未記入・3人

良い点  ・専門以外の広い知識を得ることができる 23人

悪い点  ・青山スタンダードで、興味のない分野を無理にとらされる
 のはつらい 13人
・青山スタンダードが専門的すぎて難しい 12人
・青山スタンダードは意味がない7人


<2年>
・2人  ・29人  ・45人  ・21人  ・3人  未記入・2人

良い点  ・幅広い知識を得ることができる 22人
・内容が充実した授業が多い 10人
 
悪い点  ・青山スタンダードは意味がない 17人
・必修などの授業と重なり、履修できない授業がある 15人
・青山スタンダードは抽選が多く思い通り選べない 14人
・スキルチェックはいらない 9人
・英語の内容が薄い 6人


 新しいキャンパスとともに、全学共通教育のカリキュラムを改め、新しくスタートしたのが「青山スタンダード」です。幅広い知識を得ることができると評価する人もいますが、「つまらない」や「意味がない」などの意見が非常に多くありました。1年生は、人間理解・社会理解・自然理解・歴史理解科目の4科目が必修になっており、理系科目を履修しなくてはならないため、「難しい」「つまらない」という意見が目立ちました。確かに大学生にもなって、自分の興味のない分野を勉強させられるというのはつらく、もっと自由な選択が可能なカリキュラムの方が良いのかもしれません。
 また、2年生の不満点として挙がっているように、今年度、資格に必要な教育学科の授業と、クラスでの英語購読などの必修科目の時限が重なっていることが多く、過密な時間割の調整が大学としての課題だと思います。
(一戸 裕司)

日文の未来図
高田 祐彦

 日本文学科の輝かしい未来図を、というのが、この原稿への指令である。今日、大学をめぐる厳しい環境の変化に多少とも関心を持つ人ならば、そうした楽天的なことを書くのがいかに困難かは、容易に察していただけることと思う。しかし、そのような常識をあえて振り切って、ここでは、未来に向けてのささやかな取り組みの構想とその実現の一端を語ることにしよう。

 はじめに、学科のカリキュラムである。日文では従来も不断にカリキュラム改革を行ってきたが、近年も新しい制度を導入している。一九九九年度には集中講義を始めた。毎年、九月の後期の授業が始まる前のまだ暑い時期、好奇心旺盛な学生が、知名度の高い学者による先端の研究に触れている。二〇〇〇年度からは、三年次の演習を二科目必修にした。卒業論文を書く準備として、複数の教員の専門的な演習を経験することが、多角的な視野と多様な関心の獲得につながっている。そうした経験を基盤に書かれる卒業論文には、毎年めざましいものが出ている。なお、二〇〇三年度から、相模原キャンパスの開学にともなう共通教育の改編が行われているが、日文では、一年時からの継続的な専門科目の配置を変えずに対応している。今後も、学生の声に耳を傾けながら、少しでもよいカリキュラムを組んでゆくつもりである。

 一方、十五人という豊富な教員スタッフを活かした外部に対する働きかけも始まっている。二〇〇五年三月には、「文字とことばー古代東アジアの文化交流」と題する国際シンポジウムを開催する。文学部他学科の活動に刺激されつつ、日文スタッフのカバーする多様な領域を生かしての企画である。こうした試みを単発のイベントに終わらせずに、継続的に開催する予定である。そこで生まれた研究成果や人的交流を継続させてゆくために、国際シンポに基づく論集のシリーズ化や、外国の大学や研究機関との交換留学制度や研究者の交流制度の実現などをめざしてゆきたい。幸いわがスタッフはそれに堪えるだけのすぐれた研究業績をあげてきているので、日本における学問的な交流の拠点となる可能性もある。青山学院が長く培ってきた英語圏との交流に加えて、韓国、中国、フランス、ドイツなど、日本文学の研究が近年めざましいところとも、すでに個人レベルでは交流が始まっているので、これを学科および学部のレベルへ引き上げてゆくことになるだろう。

 国際シンポに続いては、大学の公開講座という形でより日常的に地域や社会との関係を築いてゆくことが考えられる。とくに今後の大学と地域との関係に鑑みて、都内を中心とする住民の方々に水準の高い講義を提供することは、今や責務といえるだろう。社会人の受け入れについては、むずかしい問題があるが、まずはこうした地の利を生かした地域への広報活動をしていきたい。それによって、大学に求められる地域との共生という課題にこたえるとともに、青学の日文という存在を世間にアピール(個人的には嫌いなことばですが)する機会ともなるだろう。

 最後に、日文の財産の一つともいうべき、卒業生との関わりである。この方面は、従来、日本文学会の乙会員として、大会への参加を呼びかけてきたが、新たに同窓会が発足して、学会とは別な形での同窓生の交歓の場が持たれている。学会との組織面の関係が複雑な現状ではあるけれども、学会としては、前述したような今後のさまざまな学問的な試みに積極的に卒業生の参加を呼びかけてゆきたい。卒業してしばらくすると、あらためて大学で学んだ勉強を深めてみたくなる、という話をよく聞く。そのような卒業生の声に応えるための催しや共同研究など、いろいろな試みが考えられると思う。もちろん、毎年の大会も工夫を凝らして、これまで以上に魅力的な催しにしてゆくつもりである。これまで、卒業生の皆さんとの関わりが不十分であったが、今後はそうした反省の上に立って、卒業生の方々のお力添えを得ながら、学会ひいては学科を盛り立ててゆきたいと念じている。

会報TOP |  1 |  2 |  3 |  4 |  5 |  6 |  7