eyecatch14

図書紹介 論文集・執筆分担等

18世紀フランス文学を学ぶ人のために

livre_nhfn植田 祐次編 北垣 潔、楠本 重行、多田 寿康、太原 孝英、橋本 到、橋本 克己 他著
(世界思想社 2003年3月刊)

本書はいわゆる入門書ではない。これはまた、文学史や概説書の類でもなく、特殊な専門書でもない。あくまで言葉のよき意味での文学のアマトゥールの視点を保持しつつ、18世紀フランスの小説を中心とした文学作品のいくつかに関する批評を目指したささやかな試みなのである。

18世紀文学に関するこの四半世紀の間の批評の動向は目を瞠るものがあり、伝統的な解釈が次々に覆されてきた。レチフやサドやクレビヨン・フィスらが二世紀を経て復権されたのもそうした流れのなかではじめて理解される。批評と研究の深化は、不当に扱われてきた作家たちの復権や再評価ばかりでなく、古典と目されてきた個々の小説作品についても読み直しを促し、新たな解釈を生み出してきた。本書ではそんな批評の動向を念頭におき、時にはそれに率直な疑問をさしはさむなどしながら、小説が市民権を獲得するにいたるこの時代のフランスの文学的土壌の一端を測定しようと努めた。

« 図書紹介 論文集・執筆分担等へ戻る

©2018 Université Aoyama Gakuin Tous droits réservés