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専門教育

フランス文学

フランス文学はフランス文化の結晶であり、今日に至るフランスの社会・文化の精神的支柱をなしています。フランス文学はケルトやギリシア・ローマの文化、キリスト教中世など、過去の多様な遺産を継承しつつ、それらを独自の形に変貌させながら発展を遂げてきました。過去と現在が向き合い、伝統と前衛がせめぎあう文学、それがフランス文学と言ってよいかもしれません。

「フランス文学は人間学の教程である」とは碩学クルティウスの言葉ですが、フランス文学の根底には常に人間探求の精神があります。小説や詩、演劇など、どの分野の作品でも、一貫して人間のあり方が問われています。文学において、人間とは何かという問いは、同時に語ること、書くこととは何かという問いでもあるでしょう。フランス文学がわれわれを魅了してやまない理由は、この尽きることのない問いにあります。

フランス文学へのアプローチ

フランス文学への入門的なアプローチは1年次の「講読」に始まります。2年次に配置された「フランス文学史概説」は、フランス文学の流れをつかむとともに、中世から現代までの各時代の主要な作家に触れることを目的としています。また、「フランス語精読」では、比較的容易な文学作品がテキストとして取り上げられ、フランス語を学びながらフランス文学の楽しさを原文で味わうことができます。

2年次には、フランス文学の理解を一層深めるために「演習Ⅰ」が、3年次からは「演習Ⅱ」が用意されています。フランス文学科のひとつの特色は、計9人の文学分野の専任教員を揃えていることであり、16世紀(久保田)、17世紀(西村・秋山)、18世紀(井田)、19世紀(露崎・荒木)、20世紀(和田・濵野・阿部)の作家を対象とするゼミが開講されています。また「講読演習」や「文学特講」の授業でも、さまざまな作品に親しめるほか、「フランス文学研究」でも、フランス文学の特質をテーマ別に学ぶ機会が設けられています。


フランス語学

まず「語学」という言い方について、誤解のないようにしておかなければなりません。「語学を身につけておけば将来役に立つかもしれない」とか、「語学が得意(苦手)だ」といった言い方がよくなされますが、その場合の「語学」とフランス語学の「語学」とは同じ内容を表してはいないということです。

フランス語学はフランス語を対象に専門的な研究をする学問で、語学一般を研究する言語学(一般言語学とも言う)の一部をなしており、その点をはっきりさせるために「フランス言語学」と呼ばれることもあります。一般言語学とフランス語学あるいはフランス言語学の間の関係は、互いの成果をやり取りする相互補完的なものであります。フランス語学で得られた成果は一般言語学の中にデータの一つとして取り込まれ、他の言語の研究から得られたデータと照らし合わされ、より一般的な言語記述に役立てられます。また、一般言語学で得られた成果はフランス語学で利用されることになります。

フランス語へのアプローチ

フランス文学科では、語学関係の専門科目として、2・3年次にフランス語学の諸領域を概観する「フランス語学概論」と、フランス語を時間の流れに沿って研究します「フランス語学研究」を開講しています。また、2・3・4年次配置の特講の中にも「フランス語音声学」、「フランス語学・一般言語学」などの語学関係の科目を配置しており、それぞれの分野の最新の研究成果に触れることができます。

語学関係の演習としては、語彙・意味の領域でフランス語を歴史的および共時的に研究する鳥居ゼミ、現代フランス語の動詞を中心とした語彙・構文体系の研究を行っている尾形ゼミがあります。

このようにどの科目も、言語学、文学、文化といった広い視野に立って、あるいは日本語との比較対照といった観点からフランス語の本質を解明すべく努めています。


フランス文化

フランス文化は、一貫して人間の自由とその表現を重視するものであったし、現代においてもそうであります。フランスの文化は多様な姿をとって現れます。衣食住の生活文化から都市開発・文化政策に至るまでのフランス文化固有の厚みは、まさにグローバリゼーションが進む現在の世界にあって、きわめて興味深い事例となっています。

フランスの文化・社会を学び、それを日本の文化・社会と〈対話〉させることは、これからの世界を考えるためのきわめて有効な方法です。

〈異なるもの〉への好奇心から出発して人間の多様な価値を認め、相互に理解する柔軟な精神を養うことは、どのような分野に進むにせよ、必然的に国際的な舞台で活躍しなければならないこれからの若者にとって、大きな力となるはずです。

フランス文化へのアプローチ

1年次に配置された「フランスの文化と社会」は、名称どおり、フランスの風土、歴史、文化、政治、社会について基礎的な展望をあたえています。また2年次の「演習Ⅰ」でも、年度により、また担当教員によっては、言語や文学の枠にとどまらず、さまざまな文化的題材をあつかうことがあります。

2年次からは、歴史、法制度、社会問題などの分野での個別の問題をアクチュアルな視点から専門的に講じる「フランス文化特講」が置かれています。また同じく3・4年次配置の「演習Ⅱ」では、文化的側面や言葉の面から日仏を比較し、相違点や共通点を考察する日仏対照学や、現代フランスにおける最も今日的なテーマをめぐって調査、検討をはかる現代フランス論の授業がフランス人専任教員によって指導されています。

ともにフランス語でのレポートや議論を通して、フランス文化を自発的に、かつ総合的に捉えることを目ざしています。なお、専門科目ではありませんが、青山スタンダード科目の「フランス語圏の社会と文化」も、フランス語およびフランス文化の世界的な規模での受容や継承を知るうえで有意義です。

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