2013年度の開講科目の授業から、講義科目を中心にその一部を紹介します。
(所属が示されていない場合は本学科専任教員です)
特 講
「「枠」をこわす思想」(谷口亜沙子・獨協大学)
20世紀のフランスにおいて、さまざまな「枠」をこわした作家・思想家をとりあげ、「人間」「性」「肌」「国境」「本質」「制度」「権力」「文学」など、さまざまな既成の「枠」がこわされてゆくさまを、翻訳と原文の抜粋を紹介しながら解説する。「現代フランス小説の三態」(三ツ堀広一郎・東京工業大学
おもに20世紀後半のフランス小説を、リアリズムとは異なる新たな小説形式の探求という観点から検討する。カミュの他に、アラン・ロブ=グリエら《ヌーヴォー・ロマン》の作家たち、ジャン・ジオノら《アレゴリー》の作家たち、サミュエル・ベケットら《レシ》の作家たちを取り上げる。「噂とフランス文学/『サラジーヌ』Sarrasineという小説」(博多かおる・東京外国語大学)
「前半は、フランス近代文学に「噂」や集団の言説がどのようなかたちで引用され、取り込まれているかを、複数の文学作品の抜粋の読解を通じて考察する。後半は、前期に扱った作品の中からバルザックの『サラジーヌ』を取り上げ、精読する。授業の中では適宜、関係する画像、映像作品、音楽作品も参照する。「フランス社会における演劇の変遷」(高橋信良・千葉大学)
この授業ではフランス演劇の歴史を概観し、社会における舞台芸術の役割(存在理由)とその変遷を三つの側面(娯楽、教育、美意識)から考察する。「フランス語副詞について/フランス語の多様性」(青井明・国際基督教大学)
前期はミクロな視点からフランス語を観察する。すなわち、フランス語副詞について、そのさまざまな機能と分類を分析・記述する。後期は、マクロな視点からフランス語を捉える。まず、世界各地で使われているフランス語を紹介し、その特徴を説明する。つぎに、フランス本国で話されているフランス語の方言、フランス語以外の地域語を取り上げる。最後に、フラングレなどの社会的側面も観察する。講読演習
「オペラを読む」(荒木善太)
17世紀のリュリから20世紀のドビュッシーにいたるフランスのオペラの livret (台本)から抜粋し、講読を行う。該当箇所の舞台映像を適宜参照する。「ミュッセの戯曲『マリアンヌの気まぐれ』を読む」(秋山伸子)
ミュッセの戯曲『マリアンヌの気まぐれ』を読むことで、フランス語の読解能力を高め、フランス演劇についての知識を深める。「アントワンヌ・ヴォロディーヌのVue sur l’ossuaireを読む。」
現代フランス文学における異端の作家、アントワンヌ・ヴォロディーヌの作品を精
読することで、テクストを読む技術を向上させるとともに、文学作品を読み進める楽しみを知る。フランス文学史概説 II
「近代フランス恋愛小説とブルジョワ社会」(井田尚)
十八世紀から十九世紀の代表的な作家による恋愛小説を取り上げ、それぞれの作品における男女の恋愛にリアリティーを与えている近代ブルジョア社会の描写を、当時の歴史的な背景とともに学んで行く。「20世紀フランス文学に描かれる文化・社会・個人」(和田惠里)
作家は戦争などの同時代の出来事や社会の変化をいかに捉え、虚構作品のなかに組み込んでいったのであろうか。個人の心理や自我は作家の文体のなかでどのように表現されているか。20世紀のフランスの小説に関する理解を深めるとともに、社会と小説の関係について考察する。また、小説を原作とした映画にも触れる。»「演習」については、「教員・ゼミ紹介」をご覧ください。
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