文学部史学科緊急ワークショップ

 

EU離脱からブリテン国家の解体へ?」

 

日時:  2016713日(水)1320分〜1450

場所:  青山キャンパス15号館(ガウチャーメモリアルホール)3階 15308教室

講演:  平田雅博(文学部史学科教授)

司会:  菊地重仁(文学部史学科准教授)

 

【要旨】

 2016623日、イギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)において行われた国民投票で、EUからの離脱を望む意見が多数を占めました。その直後から今にいたるまで、連日マスコミで関連ニュースが報道され、またその動向をめぐってさまざまな意見が述べられています。この問題がイギリス一国やヨーロッパ(あるいはEU)にとってのみならず、日本を含む世界各地へ大きな影響を持っていることをうかがわせる現象です。

 それではなぜイギリス国民の過半数がEUからの離脱を選択したのでしょうか。この問題は、現在の政治や国際関係の問題であると同時に、歴史的な問題でもあります。歴史は、確かに、「過去と現在の対話」であるからです。今回のワークショップでは、文学部史学科の平田雅博教授から、英国のEU離脱の選択について、歴史的な文脈からお話いただきました。

 

史学科ワークショップ感想

田中悠人

私がこのワークショップに参加したのは、イギリスのEU離脱問題でスコットランドや北アイルランドがどうなるかということに興味を持ったからでした。そうしたことからイギリスという多民族国家が抱える内部の多層構造の複雑さや、それによる対立の発生が明らかになったことは、上記の問題に対する理解を深められたと同時に、強く興味をひかれることでもありました。しかし民族、階級、年齢といった多層構造だけではなく、移民が争点のひとつとなった今回の国民投票では、流入してきた移民自身の存在についてもそのアイデンティティや複雑な立場なども考える必要に迫られました。こういった対立するグループの複雑さの歴史的背景も知ることができたので満足しています。

また、イギリスがかねてからヨーロッパやEUと距離をとっていたということに関しても解説がなされ、そのなかではイギリスがEUから離脱する前兆のようなものが複数感じられたのも興味深いものでした。すなわちイギリスのEUにおける立場は中途半端であったという特殊性や、加盟する前後でも多少の分裂があったことなど、節々EU離脱の前触れがあったようにも思えたのです。

今回のワークショップでは以上のようなヨーロッパとの距離感と複雑な内部多層構造という二つの点に注目しました。今後はイギリスが帝国へ回帰するのか、英米関係はどうなるかといった新たな課題についても歴史をはじめとする背景を踏まえ、長期的な観点から考えていきたいです。