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プロフィール

エコール・ノルマル・シューペリウール卒業。パリ第3大学中世で中世文学の博士号を取得。パリ第3大学、ジョンズ・ホプキンス大学などで教鞭を執る。年内にオノレ・シャンピオン社より著書「Portraits croisés, l'image des Francs et des musulmans dans les textes sur la première croisade」(chroniques latines et arabes, chansons de geste françaises des XIIe et XIIIe siècles)を刊行の予定。

 

作家は同時代に働きかけられるのか。私は、この問いから、レジスタンス期の詩人達が占領下の国で非合法出版の詩を通じて、いかにイデオロギー的なメッセージを伝えるのに成功したかについて研究するようになりました。彼らの活動は、しばしば時代から外れ、時代の流れに逆らって政治的・社会的抑圧を告発する政治参加の作家に通じるものです。 ルイ・アラゴンは、レジスタンス詩の中で、非常に古いフランスの神話を復活させました。アラゴンは、反ペタン政権のメッセージを伝えるために、中世の伝説やアーサー王と円卓の騎士の小説群の人物達を利用し、自らの歌をトゥルバドゥール達の歌に似せようとしました。この魅惑的な時代の混淆は、いかに偉大な作家が文学的伝統を自らの作品に取り込めるかを示しています。

中世文学、特に十字軍のイメージの研究から出発した私は、より現代に近い作家達の様々な政治参加に関心を持つようになりました。かつてないほど女性作家の作品が花開いた二十世紀文学を読むと、女性文学がいかに特殊な視点を生み出せるかが分かります。その視点は、必ずしも政治参加とはいえないまでも、先行する時代に支配的であった、往々にして一方的なものの見方をかなり変える力を持っているのです。

 
 
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